紙の魅力引き出す300点 立花文穂展 水戸芸術館

茨城新聞
2022年8月2日

紙から文字、本、現代アートへと多様な表現を楽しむ企画展「立花文穂(ふみお)展 印象 IT,S ONLY A PAPER MOON」が、水戸市五軒町の水戸芸術館現代美術ギャラリーで開かれている。300点を超す展示で、作家の歩みを総体的に紹介している。

立花さんは1968年、広島市で製本業を営む家に生まれた。文字や紙、本を素材やテーマに、美術、グラフィックデザイン、編集、印刷、出版など多様な領域を横断した創作活動を続けている。美術館を会場に個展を開くのは、今回が初めて。22日の内覧会で立花さん自身が会場を案内した。

展示は95年から現在まで、九つのテーマで構成。紙と墨の表現である書や、活版印刷機を利用したデザイン、印刷物、本を使ったオブジェなど、手作業や素材の魅力を引き出す内容だ。

目を引くのは、昨年開かれた国際芸術祭「東京ビエンナーレ」の出品作「機会 OPPORTUNITIES」の再展示。古い活版印刷機を「楽機」として操作する空間を使った芸術作品で、内覧会で立花さんはギターとピアノとともに演奏を披露した。

日常生活でペーパーレスが進む中、立花さんは「紙でできている有象無象が混じり合い、混然一体となり、皆さんの心体に残るとうれしい」などとした。

会期は10月10日まで。午前10時~午後6時。一般900円、団体700円、高校生以下、70歳以上など無料。月曜休館。