未利用の魚 おいしく食べてSDGs 高崎のホテルで宴会料理を提供 ワイテック(富岡)が販売
SDGs(持続可能な開発目標)の一環として、群馬県富岡市内の企業が、水揚げされても需要が少なく市場に出回りづらい「未利用魚」の活用に乗り出した。飲食店やホテル向けに販売を始める。第1号としてSDGsに力を入れるホテルメトロポリタン高崎(高崎市)が20日から宴会料理として本格的に提供を始める。活用が難しかった魚が和食や洋食に生まれ変わる。
活用するのは、北海道・標津で捕れる体長25センチくらいの白身魚「エゾメバル」。大量に生息していることから、ホッケ漁の際によく網にかかるが、地元ではあまり食べない。一方で大消費地の札幌市内の市場はより近くの漁港から入荷できるため、標津のエゾメバルは水揚げされてもほとんど流通していなかったという。
そこに注目したのが、鮮魚のEC(電子商取引)サイト「ピチピチマート」を運営する富岡市の製造業「ワイテック」(吉沢秀房代表)。県外の漁港や県内の養魚場で水揚げされた水産物をホテルや飲食店へ直送している。
仕事で北海道に行くことが多い吉沢代表が標津の漁師から話を聞き、「何か料理に使えないか」と同ホテル総料理長の井田昭彦さん(60)に相談。煮付けや南蛮漬け、ムニエルなどの試作を経て採用が決まった。標津漁業協同組合が水揚げし、現地で冷凍して届ける。
同ホテルは、市場に出回らない規格外野菜を使うなど日常的にSDGsを推進。これまでも同サイトを通じて未利用魚のメギスなどを活用してきた。井田さんは「エゾメバルは可能性を秘めた食材。さまざまな調理法で活用し、食材を有効に使ってSDGsに貢献したい」と意気込む。
副総料理長の山口譲司さん(57)も「臭みがなくおいしい。使い勝手が良いのに市場に回らないのはもったいない」と話す。
ワイテックはサイトで扱う未利用魚の種類を増やす方針。吉沢あゆみ専務(37)は「日本は食料自給率が低いにもかかわらず、国産の魚が活用されないのはもったいない。新鮮な魚を群馬の人においしく食べてもらいたい」としている。