明治七宝の妙技堪能 県内初、並河靖之の回顧展 茨城県五浦美術館
茨城県天心記念五浦美術館の開館25周年記念展「並河靖之の雅な技-世界を魅了した明治の京都七宝(しっぽう)」が、北茨城市大津町の同館で開かれ、七宝作家、並河靖之(1845~1927年)の繊細で優雅な作品が、訪れる人の目を楽しませている。並河の名品を一堂に公開する回顧展は県内で初めて。
京都出身の並河は、明治初期から七宝業に携わり、中国の技術を踏まえ、独自の美を再現する技法を確立。同時代、七宝は輸出産業の花形として人気を集め、並河は「世界で一番の七宝作家」と評された。
展示は、並河の初期から晩年までの名品58点をはじめ、同時代の作家による七宝作品を加えた計70点。絵画のように美しい「桜蝶図平皿」や「蝶に花丸唐草文飾壺」「菊唐草文細首小花瓶」など、風景や花鳥を題材にした繊細で優雅な世界が広がっている。
このほか国の登録有形文化財に指定されている並河靖之七宝資料や、親交のあった日本画家たちの絵画作品などが紹介されている。
同館企画普及課長の中田智則さんは「並河七宝の魅力を紹介する県内初の回顧展。同時代に活躍した岡倉天心の業績を別の視点で再発見することにもつながる」と話している。
会期は9月25日まで。午前9時半~午後5時)。月曜休館(ただし18日、9月19日開館、7月19日休館)。一般840円、満70歳以上420円、高大生630円、小中生320円。