《旬もの》マンゴー(茨城・小美玉市) 超完熟 たっぷりの甘さ

茨城新聞
2022年7月13日

茨城県小美玉市育ちのマンゴーが、間もなく収穫期を迎える。同市部室の「やすださん家のスイーツ園」のハウス内では、赤味を帯びてきたマンゴーが鈴なりにぶら下がっていた。代表の保田幸雄さん(73)が、定年退職を機に栽培し始め今年で12年目になる。「毎年、マンゴーを待ってくれるお客さんが大勢いるのがうれしい」と、満面の笑みを浮かべた。

保田さんは、鯉淵学園(当時)卒業後、カーネーションやポインセチアなどの鉢物栽培を約40年間手がけてきた。60歳で一区切りし、長男夫妻に花き栽培を託した。「第二の人生は、趣味でマンゴー栽培に挑戦してみたい」。ある時、沖縄のマンゴー農家から苗木を2本買ったのがきっかけとなった。

2010年、室温15度で花を栽培するハウス内に苗木を入れ、試験栽培を開始した。当時、茨城で栽培例がなく、妻のしつ子さん(71)が、マンゴーの本場・宮崎県や沖縄県の栽培歴や温度管理を勉強しながら、夫婦で試行錯誤。約半年後、偶然にも実を付けた。「ひょっとしたら、茨城で育つかもしれない」と希望が湧いた。

マンゴー栽培は、長年の鉢物の技術が生きている。保田さんは「水や温度管理は、ハウスで育てる植物と食べ物は、そう変わらない」と笑う。

同園では大型の鉢で育てる「ボックス栽培」を採用している。地植えが主流の宮崎県や沖縄県産とは異なり、茨城の土地では、冬場の土の温度が低過ぎてうまく育たないためだ。ハウス内の温度や湿度を自動最適化しつつ、保田さんは、きめ細かに状態を観察している。その理由を「一鉢ずつ状態が違うんです」と説明してくれた。

国内で最も多く生産される「アーウィン」や手のひらサイズながらも甘味が強い「ミニマンゴー」など5種類計100株を栽培している。一般的にマンゴーは熟すまで約120日。だが同園では、実にかぶせたネットの中に自然と実が落ちるまで約1週間長く待つ。「超完熟だから甘味が強い。糖度は18~20度ある」と保田さんは言う。

同園のマンゴーを使ったかき氷とパフェ

 

 

販売と同時に、甘さたっぷりのマンゴーをふんだんに使ったパフェや、果肉入りのかき氷もお目見えする。「『おいしい』という言葉が一番。乳酸菌入りのマンゴーに挑戦してみたい」。新たな夢を抱いている。

■メモ
マンゴー
▽やすださん家のスイーツ園の住所は、小美玉市部室174
▽(電)090(3339)5638(午前9時~午後4時)
▽販売は15日ごろから開始し、8月20日ごろまで。価格は1個1500~3500円。マンゴーパフェ800円、かき氷500円。ほかにシャインマスカットも栽培する。