板谷波山と富本憲吉展 東西の巨匠、陶芸家競演 茨城・筑西

茨城新聞
2022年7月4日

■個性輝く110点

いずれも文化勲章を受章した陶芸家で、茨城県筑西市出身の板谷波山(1872~1963年)と、奈良県出身の富本憲吉(1886~1963年)の2人に光を当てた特別展「東西の巨匠展 板谷波山と富本憲吉」が23日、筑西市大塚の廣澤美術館で開幕する。「東の板谷波山、西の富本憲吉」と称される近代陶芸の巨匠2人が手がけた約110点がずらりとそろう。会期は9月4日まで。

特別展は、波山の生誕150周年を記念した展覧会の一環で企画された。展示作品は、同美術館を運営する広沢グループ(筑西市)の広沢清会長(83)のコレクション。同美術館の敷地内に隣接する「つくは野館」には、富本が作陶する際に図案として描いた絵40点が展示されている。

広沢会長は「(富本氏の)陶器だけでなく絵も合わせた展示は珍しいのではないか」と話している。

同時代に活躍した波山と富本は、自然の草花を主題とする作品を数多く残し、日中の陶磁器の研究に取り組むなど、共通点が指摘されている。同展は、そうした2人の対照的な個性の部分もつぶさに知ることができる展示が大きな見どころとなっている。

本館に展示される波山の「彩磁(さいじ)草花文(そうかもん)花瓶(かびん)」は、花瓶の表面を彫った上に、液体の顔料を用いて草花を描き、さらにその表面に透明の釉薬(ゆうやく)をかけた作品だ。一方、富本の「色繪(いろえ)徳利(とっくり) 対(つい)」は、一組のとっくりに色鮮やかな幾何学模様が施されている。

同美術館の担当者は「富本ははっきりとした色合いなのに対し、波山は柔らかな優しい色合いが特徴となっている」と説明した。

問い合わせは同美術館(電)0296(45)5601。