水戸に笑いを 宮下銀座に寄席小屋常設 9月 地元商業者

茨城新聞
2022年6月16日

「目の前で落語を楽しめる、笑いにあふれた街にしたい」-。水戸市宮町の飲食店街「宮下銀座」に、常設の寄席小屋が開設されることになった。こけら落としは9月10、11日。古典落語の名手で若手ホープ、古今亭菊之丞さん(49)の独演会を予定している。開設に携わる一般社団法人「まちコンテンツ共創協会」が9日、同市中央の水戸市役所で記者会見し、土、日曜日開催の「週末寄席」からスタートする考えを示した。

寄席小屋の名称は「水戸みやぎん寄席」。隣接する水戸東照宮管理の倉庫として、長くシャッターが閉まったままの鉄筋4階建てビルを改装する。1階に約50席の演芸場、2階に楽屋やトイレを設ける。公演は土日それぞれ2回とし、1回約90分間。トリを務める「真打ち」になったばかりか、「二つ目」の若手落語家2人を呼び、交互に出演させる。開設後半年の演者はほぼ決まり、茨城県内出身者もいる。

同法人によると、常設の寄席を地方都市で運営していくのは難しいとされ、北関東には存在しない。代表理事で水戸商工会議所の大久保博之会頭(69)=リリーアカデミーグループ理事長=は「法人は有志の会。健全な夜のコンテンツとして何かないかと思い付いたのが寄席だった。観光客だけでなく市民も楽しめる」と話し、中心市街地のにぎわい復活に向け挑戦する意義を強調した。

入場料は2千~3千円。予約と当日売り半分ずつを販売する。オープン2カ月前の7月10日にはホームページを立ち上げ、インターネットで事前予約できるようにする。当面は落語だけだが、ゆくゆくは講談や色物も入れていく。寄席は平日、貸し劇場として活用できるようにする。

演者が公演前後に学校や企業に出向く「出前寄席」も企画したいという。理事の一人で演者を決める「席亭」の内藤学さん(62)=水戸ヤクルト販売社長=は「水戸で(落語)ファンができる仕組みを作っていきたい」と話した。