世界かんがい施設遺産「十石堀」 北茨城 建設の功績伝承 沼田主計の顕彰碑完成
「世界かんがい施設遺産」に登録されている茨城県北茨城市中郷地区の農業用水路「十石堀」を、江戸時代に建設した沼田主計(かずえ)の功績を伝承する顕彰碑が、同市中郷町松井の十石堀親水公園に建立された。同公園で9日、豊田稔市長や関係者など約50人が参加して除幕式が行われた。
十石堀は、水不足に苦しむ松井村(現在の同市中郷町松井)の庄屋だった沼田が中心となり、1668年に着工して翌年完成した。沼田は用水路の建設を上申するに当たり、はりつけ柱を用意し、白装束姿で神社に祈願したと語り継がれているという。
2019年には、歴史的価値のある農業用水利施設を登録する世界かんがい施設遺産に選ばれた。
顕彰碑の大きさは縦2メートル、横1・7メートル。赤御影石の中央には、現存する似顔絵を基にした沼田のブロンズ製レリーフがあり、横に紹介板を掲げる。白御影石の台座は、同遺産の認定証の写しと和訳版、十石堀の紹介文を設置している。
除幕式は、市立石岡小の児童や関係者の子どもたち計12人が、プランターに花の苗を記念植栽するなどし、記念碑の建立を祝った。
豊田市長は「小学生にも沼田主計の偉業を継承してほしい。誇りに思って学業に取り組んでもらいたい」と述べた。地元住民でつくる十石堀維持管理協議会の根本俊会長は「沼田主計が十石堀を完成させるため、命を賭して成し遂げた功績が、碑として公表できるのは何よりのこと」と話した。