手術痕や脱毛気にせず温泉 女性限定 悩み共有し交流の場 伊香保・旅館でイベント

上毛新聞
2022年4月20日

がん治療による手術痕や脱毛があっても気兼ねなく温泉を楽しめる女性限定のイベント「乙女温泉」が25日、伊香保温泉(群馬県渋川市)の旅館「塚越屋七兵衛」で開かれる。容姿に自信を失って入浴施設の利用をためらう人向けに、兵庫県を拠点に活動する乳がん治療経験者のコミュニティー「リボンアール」が県内で初めて開く。経験者同士や罹患(りかん)していない女性が交流することで思いを共有し、前向きに暮らすきっかけづくりの場としてもらう。

イベントは、髪を失った女性のための頭を覆うスカーフブランド「リノレア」を手掛ける桐生市の会社「アルモニア」が共催する。

リボンアールは2020年6月、兵庫県尼崎市の主婦、渡辺愛さん(49)が立ち上げた。乳がんの女性が勇気を持って元気に暮らせるよう、治療を受けた女性の経験談を、診断を受けたばかりの女性に伝えている。

渡辺さんも乳がんの手術を経験、温泉や銭湯から足が遠のいていた。温泉女将の知人に相談すると休館日に湯を借りられることに。同年10月に「乙女温泉」と銘打ち、乳がん経験者ら女性30人で初めて入浴した。交流サイト(SNS)でこの様子を発信すると、全国から開いてほしいとの声が寄せられ、大阪や京都、東京など8カ所で開いた。

本県では塚越屋七兵衛での開催を計画していたところ、渡辺さんが、アルモニア代表の角田真住さん(44)が出演するFM桐生の番組にゲストで登場。両者で開催することが決まった。

渡辺さんは「乳がんのリスクは誰にでもある。治療を経験した女性と交流し、病気や生活に理解を深めてほしい」とし、角田さんは「自信を失った女性が前進するための一歩になるといい」とした。同旅館の塚越左知子社長(55)は「今後も定期的に開きたい」と意欲を見せる。

イベントは、午後1~5時。乳がんのセルフチェック講習、人工ボディー「エピテーゼ」の装着体験もある。参加費は入浴料などを含めて大人1100円、小学生以下550円。定員は20人。締め切りは23日。申し込みは専用フォームから。問い合わせは渡辺さんにメール(info@rebornr.com)で。