茨城・石岡の縄文遺跡紹介 市歴史館企画展 土器から型取り 植物利用、焦点当てる
茨城県石岡市総社の市立ふるさと歴史館で、企画展「東大橋原遺跡-石岡市の縄文時代-」が開かれている。発掘調査から40年以上がたつ市内の縄文中期の遺跡に光を当てて、出土した土器などを紹介しつつ、新しい手法を使って縄文人の植物利用の一端を浮かび上がらせる内容となっている。
東大橋原遺跡は、JR石岡駅など市の中心地から3キロほど北東に当たる園部川を望む台地にある。1977~79年に学術調査が行われ、縄文中期(5500~4500年前)を中心とした集落跡が見つかった。国内初の「土器焼成遺構」の出土例で、霞ケ浦沿岸の縄文文化を考える上でも重要な遺跡とされている。
展示は、土器などを中心にした約30点の実物資料と、調査の経緯や成果についての解説からなる。土器の文様や形から「阿玉台式」「加曽利E式」「曽利式」「大木式」など複数の系統の型式が併存、融合していることを紹介しているほか、表面を赤く中を黒く塗ってある「赤彩土器」から、縄文人の色彩感覚にも光を当てている。
特に新しさを感じさせるのは、縄文人の植物利用を紹介するコーナー。土器にある小さなくぼみに着目し、シリコンを注入して型を取ることで、そこにアズキの仲間の種やエゴマのようなシソ属果実、キハダの種が確認されたことを示す。また、土器の底面の型を取り、恐らくは成形の際に、下に敷いた敷物の跡である模様が、植物を規則的に編んだ物であることを示し、縄文人の工芸的な技術の高さをうかがわせている。
企画展を担当した市教委の金子悠人学芸員は「世界遺産に登録されるなど、縄文時代への関心が高まっている一方、石岡の縄文遺跡を紹介する機会がこれまでなかった。東大橋原遺跡について知ってもらうとともに、縄文時代のイメージを更新してもらえれば」と話している。
会期は4月3日まで。月曜休館、無料。新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の指定期間中は、入館に制限がある。詳しくは市のホームページまたは同館(電)0299(23)2398へ。