本尊修復 来月からCF 足利・最勝寺 返礼品、ちばさんも協力

下野新聞
2022年1月24日

 【足利】昨年2月の両崖山火災で緊急搬出した本尊3体など多数の文化財修復を目指す大岩町の大岩山多聞院最勝寺は勧進(クラウドファンディング)を行うことを決め、23日に勧進成就祈願の法要を行った。勧進は2月1日から受け付け、2025年までに1億円を目指す。返礼品には市文化財専門委員を通じて文星芸術大学長の漫画家ちばてつやさん(83)の直筆画を活用した絵馬などを用意する。

 同寺は県指定文化財の毘沙門天と両脇侍、市指定文化財の山門の金剛力士像2体を所有している。火災時、江戸時代の雷火修復以来260年ぶりに搬出したが、経年劣化による損傷が大きく、修復が不可避となった。修復費は防火のための貯水施設整備費なども含め1億円を見込む。

 昨年末には市民有志13人が修復委員会を設立。2月1日に同寺と共同で専用サイト(bishamonten.org)を開設し、1口5千円~300万円の寄付を募る。

 修復事業には、市文化財専門員の文星芸術大准教授大澤慶子(おおさわけいこ)さんを通じてちばさんも協力。「少しでもお手伝いできれば」と、毘沙門天やその使いの虎を描いた絵を奉納した。絵馬やポストカードとして、返礼品に加わるという。

 この日の法要は同寺本堂で行われ、修復委員ら10人が参列した。沼尻了憲(ぬまじりりょうけん)住職(70)が護摩祈祷(きとう)を行う中、委員らが乳木をくべて修復成就を願った。

 委員長に就いた足利法人会の板橋信行(いたばしのぶゆき)会長は「子どもの頃から見守ってくれた歴史ある毘沙門様。多くの皆さまの協力を得ながら、次の世代につないでいく一助となりたい」と話していた。

 本尊は現在、同寺本堂に仮安置され、260年ぶりに「出開帳」が行われている。拝観料千円は修復費に充てられる。