江戸時代の御膳を再現 栃木・かな半旅館 宿場のもてなし 今に 献立表、2年がかり解読

下野新聞
2021年11月30日

 【栃木】市と飲食店などのプロジェクトで、万町の老舗旅館「かな半旅館」に残る江戸時代の資料から当時の献立を再現する料理が完成した。2年がかりで献立表の解読などを行い、いにしえの料理が復活。25日に関係者を集めた試食会でお披露目された。同旅館のおかみ志鳥泰子(しとりやすこ)さん(50)は「小江戸のもてなしを堪能していただきたい」と話している。

 この取り組みは、新名物で観光客を呼び込もうと2015年に始まった市独自のグルメプロジェクト「とちぎ江戸料理」の一環。一般的な資料を基に江戸時代の料理を再現したものは既にあるが、かつて市内で実際に提供された料理を復活させたものはなかった。

 志鳥さんは、1775年創業の同旅館で以前発見された江戸時代の献立表を基に、「御膳を再現したい」と思い続け、2年ほど前、市学芸員に献立表の解読を依頼した。

 その結果、約100枚の献立表には材料のみが記載され、詳しい調理法は記されていなかった。志鳥さんは食材を書き出すなどし、当時作られた御膳を推測。市出身の料理研究家冬木(ふゆき)れいさん(62)の監修を受け、今回のレシピを考案した。

 完成した料理は「本膳 かな半料理帖(ちょう)」と名付けた。本膳、二の膳、三の膳、菓子の計10品。鯛の魚田、かんぴょうや湯波を使った煮物、白味噌(みそ)や酒かすで作られる豆腐ぬたなど、江戸時代の味を再現し、現代人でも食べやすいよう工夫した。食器には同旅館の蔵から出てきた大皿も使った。

 試食会にはプロジェクト参加店や旅行会社から14人が参加。料理の説明を受け1品ずつ味わった。参加者からは「この料理を活用し、和の作法を学ぶ機会があればインバウンドに良い」といった意見が出た。

 料理は同旅館で提供している。3850円。

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