地震、疫病振り返る 茨城・土浦でテーマ展 11月23日まで
茨城県土浦市内で起きた過去の災害を振り返るテーマ展「災害の記憶をたどる」が、同市中央の市立博物館で開かれている。地震や水害といった自然災害のほか、江戸時代以降に流行した疫病の歴史を紹介。当時の古文書や絵はがき、民俗文化の資料を通じて、災害に立ち向かってきた人々の姿を追った。11月23日まで。
展示は新型コロナウイルスの感染拡大という災害級の事態にある中、先人たちが疫病を含む脅威にどう対処したかをひもといた。
4部構成。「土浦地域の自然災害」は、江戸時代から戦前の土浦で頻発した洪水の歴史をたどる。大雨によって、桜川の氾濫と霞ケ浦からの逆水で水害が多く発生した。
土浦藩の城下町は地盤が軟弱で治水が難しく被害に遭った。同藩の国学者、色川三中(みなか)の「家事志」では洪水の波が押し寄せたことが記され、新治地区の旧本郷村では「山津波」と呼ばれる土砂崩れが谷津田に流れ込んだ様子が絵図に描かれている。被害を受けた農民からの年貢減免申請、昭和の洪水時の写真絵はがきも資料として残る。
「洪水に立ち向かう」では、洪水の原因を考察し、対策を提案する学者の姿に焦点を当てた。色川三中の弟、御蔭(みかげ)は著書の中で堤防強化や水門設置の必要性を説いた。
「はやり病から命を守る」は、天然痘やはしか、コレラなどの疫病が広まった際、人々は神仏に頼り、疫病よけのお札やおはやしが残された。昭和の天然痘流行では種痘接種が義務付けられ、種痘済証の実物が展示された。「災害の記憶を後世へ」では、昭和の洪水時に土浦小学校の児童が書いた作文集や、記念碑が紹介された。
同館の野田礼子学芸員は「災害は今も昔も変わらない。どう人々が向き合ったか知ってもらい、何をやれるのか考えるきっかけになれば」と語った。
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