大賀ハス 心を癒やす 【負けない 新型コロナ】大田原の妙徳寺で見頃 休耕田栽培、30アールに広げ

下野新聞
2021年8月12日

 【大田原】小滝の妙徳寺でハスの花が見頃を迎えている。植物学者の故大賀一郎(おおがいちろう)博士が千葉市内で発見した「大賀ハス」で、昨年、千葉市から譲り受け境内の休耕田で栽培してきた。今年は面積を3倍の30アールほどに増やしており、矢板真雄(やいたしんゆう)住職(54)は「新型コロナウイルス禍に苦しむこのご時世、多くの人の心の癒やしとなれば」と話している。

 大賀ハスは1951年、大賀博士が千葉市の東京大農学部厚生農場(現・東京大総合運動場)の地中から約2千年前の実を発見し、発芽させた古代のハス。千葉市の「市の花」になっており、千葉公園では純粋な大賀ハスを守り続ける系統保存が行われている。

 コロナ禍の中、同寺は夏でも参拝者や花好きの人に花を見て心の癒やしにしてもらおうと、仏教でも大切にしているハスに着目。数多い種類の中、昔の姿を今に残す古代のハスを育てようと、大賀ハスを選んだ。

 千葉市から昨春、5本譲り受け、休耕田約10アールで栽培を開始。今春には、育ったレンコンを掘り出して隣接する休耕田に移植し、約30アールに拡大した。現在50本以上開花しているという。

 矢板住職は「仏教では仏様が座る清らかな花。お寺で育てる意味がある。花の命は4日間ほどだが、落ちた種から育った花は別の種類になってしまうため、花が散った花托(かたく)は刈り取るなど、種の保存にも取り組んでいる」と話している。

 11日には、同寺を母体とする「なでしこ幼稚園」の園児が散歩に訪れ、きれいなハスの花や、飛び跳ねるカエルなどに歓声を上げていた。見頃は来週までという。(問)同寺0287・22・3951。

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