《旬もの》手間暇かけ深い緑色に JA常総ひかり水海道地区ニガウリ部会(常総市) 「大きな産地に」

茨城新聞
2021年7月30日

夏野菜の代表格で、沖縄料理などで知られるニガウリ。県内では古河市がニガウリ生産の先進だが、茨城県常総市水海道地区も生産地として知名度が徐々に上がってきている。JA常総ひかり水海道地区ニガウリ部会長の鈴木洋之さん(40)は「これから大きな産地にしたい」と意気込む。

同部会では現在、29戸で年間約90トンを出荷する。部会は今年で2年目と若いが、生産者の戸数は同地区内の部会で最多。鈴木さんによると、ニガウリは他の野菜に比べて初期投資が少ない上、温度管理がしやすく、虫害にも耐えられるため、新規就農の生産者が多いという。

鈴木さんが育てる品種「百成(ひゃくなり)レイシ」は濃い緑色と肉厚で歯応えある食感、苦味が特徴。7月初旬の早朝、鈴木さんの露地畑を訪れると、アーチ形の棚に巻き付いたつるの間から、たくさんのニガウリがぶら下がっていた。鈴木さんは25センチほどに育ったものを手に取ると、軸をハサミで切ってかごに積む。気温の高い日中に収穫すると、出荷時に実が破裂する恐れがあるため、「早い時間で収穫する」と鈴木さん。最盛期には午前4時半から作業に取り掛かる。

収穫後、出荷作業が終わると、日が照りつける中、不要なつるや葉の剪定(せんてい)が始まる。鈴木さんは「時間もかかるし大変」とため息。ニガウリは日光が当たらないと白くなってしまうため、剪定は欠かせない。実の深い緑色は、生産者が手間暇かけた証しといえる。

実の形を左右する交配作業は手作業で丁寧に行う。ポイントは授粉させる時、雌花に雄花の花粉を均等に付けること。こうすることで、「真っすぐ育つ」と鈴木さん。曲がりやすいニガウリを育てる上で、最もこだわる部分だ。

緑が濃く真っすぐに育ったニガウリ

 

お勧めの食べ方は薄い半月切りにしたニガウリを、塩ゆでして水に10分さらし、水気を切ってツナマヨネーズと塩、ごまと和えたもの。鈴木さんは「苦味が抑えられて食べやすい」と一押しする。

ニガウリ栽培について、「手をかけた分だけ結果が出るため、やりがいがある」と鈴木さん。「若い人にも就農してもらいたい」と話し、ともに汗を流す仲間を募っている。

メモ
JA常総ひかり水海道地区ニガウリ部会▽JA常総ひかり石下野菜集出荷所の住所は常総市大沢222
▽(電)0297(42)1400