無蓋車5両 日本一 中之条町 旧太子駅に集め観光PR

上毛新聞
2021年7月15日

 群馬県中之条町が産業遺産観光の拠点としている旧国鉄太子(おおし)駅(同町太子)に、かつて鉱石などの運搬に使われていた屋根のない「無蓋(むがい)車」1両が13日、追加で展示された。これで計5両となり、町によると、無蓋車の展示台数は全国一となった。町は観光スポットとしてPRを強化する。

 追加されたのは、静岡鉄道(静岡県)から無償で譲渡された「ト1」号車。車両は長さ6.4メートル、幅2.4メートル、高さ2.1メートルで、最大積載重量は8トン。1929年に製造され、旧式の螺旋(らせん)連結器が付いている珍しい車両という。

 戦時中に鉄鉱石の搬出で使われていたイメージを伝えるため、国登録有形文化財のホッパー(貯留槽)棟の前に並べた。

 無蓋車を巡っては、2018年以降に他県の民間企業から無償で譲り受け、三笠鉄道記念館(北海道)や那珂川清流鉄道保存会(栃木県)の各4両と並ぶ保有台数となっていた。

 町は、鉄道文化財の保護に取り組み、町ふるさとアドバイザーに委嘱している笹田昌宏さん(滋賀県)の協力を得て単独1位を目指してきた。伊能正夫町長は「日本一として大々的にPRして観光誘客につなげたい。コロナ収束後にイベントも企画したい」と話す。

 旧太子駅は戦時中に鉄鉱石を搬出するための貨物専用として開業した。戦後、旅客輸送にも使われたが1971年に廃止。現在は、ホームや駅舎を再現し同町六合地区産業遺産群の施設として公開している。(関坂典生)