「龍門の滝」へ いらっしゃい 古里の名瀑で憩いを 四季背景に雄大な流れ

下野新聞
2021年3月12日

【那須烏山】市内有数の観光名所で、龍神がすむとの民話が残る「龍門の滝」。四季折々に見せる美しい風景に加え、4月には隣接する龍門ふるさと民芸館がリニューアルオープンするため、さらに多くの人でにぎわいそうだ。観光ガイドを務める沢村俊夫(さわむらとしお)さん(67)の案内で、滝の特徴や見所を紹介する。

JR烏山線滝駅から徒歩5分。龍門の滝は市内を流れる江川にある高さ約20メートル、幅約65メートルの滝だ。渇水期の現在は褐色の岩盤の多くがむき出しになることが多いが、大雨の直後など水量が多い時は、滝の流れる範囲が広く豪快に落ちる。

沢村さんによると、滝の岩盤は1700万~1800万年前の地層だという。周囲の砂岩や泥岩より硬く、悠久の時を経た川の流れの浸食により、現在の形になったとされる。

滝の中段には直径約4メートルの「大釜(男釜(おがま))」と、約2メートルの「小釜(女釜(めがま))」と呼ばれる二つの浸食穴がある。

地元に伝わる民話によると、滝の近くにある太平寺の住職が、滝にすむ怪物を見ようと祈り続けた結果、21日目に大釜から大蛇が現れ、同寺の仁王門を7巻半したという。大蛇は自らを龍神と名乗り、村人の願いをかなえたそうだ。

整備された遊歩道を歩くと、さまざまな角度から滝の眺めを楽しめる。水量が少なければ滝の真下まで行くこともでき、沢村さんは「こんなに近くから見上げられる滝は、なかなか無いですよ」と胸を張る。

春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪。雄大な滝の流れに加え、季節ごとに変わる風景。2014年春からJR烏山線に導入された蓄電池駆動電車「アキュム」が滝の上を通るため、一瞬を狙って滝とアキュム、周囲の豊かな自然を一枚の写真に収めるカメラマンも多く訪れる。

ガイドは毎週日曜日に案内所に常駐しており、無料で案内してくれる。コロナ禍で遠出しづらい状況だが、身近な大自然の中で密を避け、静かに滝の流れや周辺の景色を楽しんではどうだろう。

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