渋沢栄一が飲んだ「幕末コーヒー」 ひたちなかのサザコーヒー 当時の味再現
ひたちなか市共栄町のサザコーヒーは、「日本資本主義の父」と呼ばれる実業家の渋沢栄一(1840~1931年)が幕末に飲んだといわれるコーヒーを再現し、販売を始めた。2月から渋沢が主人公のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」が始まるなど注目を集める渋沢は、江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜の家臣として仕え、茨城県にも縁がある。同社の鈴木誉志男会長は「可能な限りの考証をして当時の味を再現できた」と話した。
渋沢は1867年、慶喜の名代としてパリ万国博覧会に派遣された徳川昭武(慶喜の弟、最後の水戸藩主)に随行。フランスなどの欧州歴訪中、コーヒーを飲んでいたことが自身らの書いた「航西日記」に記され、飲んだ感想を「頗(すこぶ)る胸中を爽やかにす」と表現している。
鈴木会長は、慶喜や昭武に関する史料を保管している戸定歴史館(千葉県松戸市)の担当者からこの話を聞き、再現を始めた。約1年かけて同日記の内容や当時のフランスの食文化、世界のコーヒー事情などを基に当時使っていた豆や飲み方などを調べた。
同日記から昭武や渋沢が歴訪中、日常的にコーヒーを飲んでいたことがうかがえるとして、鈴木会長は「2人ともフランス人と同程度のコーヒー通になっていたと考えられる」と分析する。
新商品名は「渋沢栄一 仏蘭西珈琲物語」。豆は当時のフランスで使われていたというイエメンとエチオピア原産のモカを使用。深いりのフレンチローストで、爽やかな香りとコクのある味となっている。
同社は2004年、慶喜のひ孫の故徳川慶朝さん(享年67歳)と共に、1867年に慶喜が欧米の公使をもてなす際に一緒に飲んだとされるコーヒーを「徳川将軍珈琲」として再現、販売している。鈴木会長は「当時の味を楽しんでもらい、渋沢と慶喜のつながりも知ってほしい」と話した。
新商品は5袋入りのカップオンで千円、200グラムのコーヒー豆で1500円(ともに税込み)。
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