映画祭や朝市、「キャンプ飯」も キャンプ施設数全国最多の茨城 独自の魅力提供

茨城新聞
2021年1月7日

新型コロナウイルス感染症の影響で観光需要が落ち込む中、茨城県は密集など「3密」が回避できる「キャンプ場」への誘客に乗り出している。各施設でもキャンプ飯開発や朝市、火おこし体験会開催など独自の取り組みを展開。茨城はキャンプ場が全国最多(2018年現在)を誇る。首都圏からのアクセスの優位性や山や海など豊かな自然を生かした、魅力の高い新たなコンテンツとして、キャンプ誘客戦略に活路を見いだしている。

地元と連携

城里町徳蔵に昨年4月オープンした「フォレストピア七里の森」。自然豊かな4ヘクタールに及ぶ敷地では、映画祭や地元農産物の直売市、陶芸体験など、地元や異業種と連携した多彩なイベントが繰り広げられ、独自の魅力を打ち出している。

毎月第3日曜に開催する「朝市」には、地元農家による新鮮な青果物などが並ぶ。キャンプ後に新鮮な野菜を購入して帰れるとあって、首都圏からの利用客を中心に人気だ。第2日曜にはトークイベント「ムーデミックナイト」を定期開催し、都市伝説やUFOなどの愛好家たちの語り合いの場を提供する。

昨年11月には屋外での映画祭を開催。今夏は「七里」にちなみ、世界各国の音楽を演奏する「七大陸音楽祭」を開催する予定。将来的には挙式に対応した「キャンプウエディング」にも取り組みたい考えだ。

動画投稿サイト「You Tube」には、テント設営方法や火おこしの仕方の映像を紹介するなど、初心者へもアピールする。施設内に計11棟あるバンガローのうち、5棟は別荘やテレワーク、ワーケーションなどの需要を見据え、年間オーナー制を導入していく方針。

運営する海老沢貴志さんは「他のキャンプ場にはない、新たな取り組みに積極的にチャレンジしたい」と意気込む。

海を活用

1992年に開業した大洗町大貫町の町営「大洗サンビーチキャンプ場」は、近年のキャンプ人気に伴い、利用客も年々増加傾向にある。「土日は基本的に予約でいっぱい。平日も、毎日10~20組は利用いただいている」。運営するNPO法人「大洗海の大学」の光又新二事務局長は話す。

大洗サンビーチキャンプ場利用者などに向け提供している磯遊び教室(NPO法人「大洗海の大学」提供)

特徴は太平洋を一望できる立地。年末年始は初日の出などを目当てに、毎年予約可能な3カ月前には「満場」となる。隣接する大洗サンビーチを最大限に活用し、利用者には同法人が提供するサーフィン、磯遊び教室、漁業体験など、海を通したさまざまな学びやアクティビティーが楽しめる。

昨年は「キャンプ飯」に着目し、地元事業者と共同でオリジナル麺を開発。施設内で「大洗しらすパスタ」「大洗しじみラーメン」を販売している。地域のコーヒー店とタイアップした「キャンプブレンド」も開発中だ。

女性客の増加などニーズが多様化していることを受け、キャンプ用品も拡充する。光又事務局長は「読書や釣りなど、それぞれのライフスタイルを楽しむ場所として、キャンプ場を提供したい」と、幅広い利活用の在り方を探っている。

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