茨城県、キャンプ場誘客に観光活路 9月にポータルサイト開設
新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込む観光需要回復へ向け、茨城県はキャンプ場への誘客に乗り出す。情報提供や予約の窓口となるポータルサイトを開設するほか、各施設間の連携を促し、利便性や魅力向上を目指す。3密を回避できるレジャーとして注目が集まりつつある中、秋や冬の新たな観光コンテンツとして魅力を発信していく。
■全国最多
県観光物産課によると、県内には163カ所(2018年現在)のキャンプ場があり、北海道の147カ所を上回る全国最多の軒数を誇る。ただ、情報を集約したサイトや施設間の連携組織などはなく、利用客向けの幅広い情報提供が課題だった。
そこで、県は県内各施設の情報や予約を受け付けるポータルサイトを立ち上げる。「県内のキャンプ場をワンストップで紹介できるサイト」(同課)として、9月下旬の連休前の開設を目指し、秋冬の誘客を促す考え。サイト内では各施設の感染症対策や周辺の観光地なども紹介する予定だ。
また、県が旗振り役となり各施設が連携する組織の発足を促し、課題共有などによる魅力向上も進める。茨城県観光は冬季の到来とともに入り込みが落ち込む傾向にある。同課は「秋冬の新たな観光コンテンツとしてキャンプをPRしたい」と意気込む。
■集客3割増
「茨城県観光の魅力の一つとして、キャンプに注目が集まるのはありがたい」。町営の大洗サンビーチキャンプ場(大洗町大貫町)を運営するNPO法人「大洗海の大学」の光又新二事務局長は、県の動きを歓迎する。
新型コロナの感染拡大で、4月8日から5月末まで休場した同施設は、6月に再開すると、問い合わせや予約が殺到。ホームページが一時的につながらなくなるほど、アクセスが集中した。光又さんは「週末や祝日の予約は9月末までいっぱい。6月の利用者数も前年比35%増」と、例年を上回る集客状況を説明する。
感染対策として、同施設は寝袋の貸し出しを中止し、水道など共同利用施設の一部利用を制限することで利用客同士の距離を確保した。光又さんは「キャンプは基本的に屋外で、密集も避けられる。コロナ禍でも楽しめるレジャーの一つとして人気が高まっているのでは」と話す。
■用品販売も好調
キャンプ需要の高まりに伴い、関連商品の売れ行きも好調だ。アウトドア品販売を手掛ける「ナムチェバザール」(水戸市末広町)では、テントやテーブルなどキャンプ用品の売り上げが前年に比べ1~2割増えている。
和田幾久郎社長は「SNS(会員制交流サイト)などでの人気を背景に、若者や一人で楽しむソロキャンプの需要が高まっている」と指摘。新型コロナの影響で物販の前年維持が難しい中で、「前年比増というのは驚異的だ」という。
さらに、「茨城県はキャンプに向いている環境にあり、豊かな自然の資産的価値は非常に高い。グッズの機能進化も後押しとなり、冬でも快適に楽しめる通年型のレジャーになりつつある。今後はリピーターになってもらえるような誘客策にも期待したい」と話した。
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