《食いこ》主婦から起業、人気店に スコーンドルフィン(水戸市) 

茨城新聞
2020年9月23日

水戸市の住宅地にある「スコーンドルフィン」は、スコーンとバナナブレッドの専門店。店舗の外観はピンク。12平方メートルほどの売り場に自慢のスコーンとバナナブレッドが並ぶ。スコーンは常時8種類。看板商品の「生クリームスコーン」やキャラメル、チョコチップのほか、秋は栗、10月は抹茶など月替わりも用意する。代表の根本好美さん(56)は「一手間掛けて、温めるとさらにおいしくなる」。

スコーン各種とバナナブレッド

根本さんが工房を立ち上げたのは2003年。菓子作りを学んだ経験はなかったが、ママ友から子どものおやつに作っていたバナナブレッドの販売を勧められ、専業主婦から起業した。近くの花店に卸していたが、口コミで広がり、卸先が病院の売店やカフェなど約30店に広がった。05年には工房に店舗を併設、ネット販売も始めるなど、人気店となった。

「しっとりしてさくさく、ぱさぱさしない」スコーンは試行錯誤を重ねて出来上がった。独身時代ワーキングホリデー先のカナダで作り方を教わったバナナブレッドはしっとりと焼き上げる。小麦粉やバターは国産。精製されている白砂糖は使わず、スコーンはてんさい糖、バナナブレッドは赤糖。3人の子どもがアレルギー体質で体が弱かったことから上質な素材を選ぶ。

着実にステップアップしたが、道のりは順風満帆ではなかった。09年に現在の場所に店を移転した。同時期に離婚。一人親の子育てと親の介護が重なった。「大切な人の笑顔を守るために店を潰すわけにはいかなかった。どう続けていくかを真剣に考えた。客観的に自分の状況を見つめることができた」と明かす。

いつしか起業を志す女性たちからの相談を受けるようになった。そこで、自らの経験や培った起業のノウハウを伝える「怖がりさんほど成功する自宅起業」(四六判、224ページ、1540円)を書き上げた。みらいパブリッシング社から21日発行される。

根本さんは女性の起業には職場と家庭の移動時間がなく、店の家賃もかからない「自宅経営」を勧める。いわば「自宅起業コンサルタント」。「起業したいと思っても、ためらったり心配したりして行動を起こせない人がいる。できることから一歩踏み出すことが大事」とエールを送る。

■お出かけ情報
スコーンドルフィン
▼住所は水戸市双葉台1の1775の26
▼営業時間は午前11時~午後6時
▼定休は月曜・火曜
▼(電)029(291)5535

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