《旬もの》時代に合わせ鉢花を栽培 大内園芸(常陸太田市) 

茨城新聞
2020年7月6日

常陸太田市の大内園芸では鉢花のヒマワリが咲き誇り、夏の元気を分けてくれる。「父の日と夏のギフト向けに今年初めてヒマワリに挑戦した」と社長の大内広明さん(40)が鉢を入れ替えたり、虫を取ったりして手入れに励む。

同社の主力は冬のシクラメン、母の日のカーネーション、春のクレマチス。夏は暑さで植物が育ちにくく売れ行きも鈍いため、これまで力を入れてこなかったが「『3カ月で百輪の花が咲く』という触れ込みの品種に出合い、ヒマワリを栽培することにした」と挑んだ。

約45年前、父幸雄さん(74)が鉢花の栽培を始めた。当時珍しかったシクラメンの鉢物栽培に取り組み、ピンクやオレンジなどパステル系のオリジナル品種がヒットした。その後もカーネーション、クレマチスと時代に合わせた花を手掛ける。

大内さんは大学時代、アルバイト先の花店で花を贈られた人の喜ぶ顔を見て、花農家になろうと決意した。農学部を卒業しドイツで1年研修。さらに大学院で2年研究の日々を過ごし、就農した。約2年前、社長を継いだ。「心の機微を映し出す花は社会や文化の変化に影響されやすい。時代とともに変化するニーズをいち早くくみ取って、感動や癒やしを与える花を提案していきたい」と意欲的だ。

約4年前から観葉植物として人気のセネシオクレイニアを栽培する。別名モンキーツリー。「SNS(会員制交流サイト)に代表されるように今は花にも個性が求められる時代。しっかり育て目を引くように作り込んでいる」と工夫した。多肉植物だが寄せ植えや小さな鉢に植えず、枝振りなどをユニークな形に整え、3年かけて大鉢に仕立てる。

シクラメンは冬に向けて株を育成中。前年の秋に種をまき13カ月かけて育てる。株が成長するに従って、だんだん大きなポットに植え替えていく。

冬に向けて株を育成中のシクラメン

「花は生き物。温度や天候の変化など環境の影響を大きく受ける。肥料や水のやり方もいつも同じでは通じない」と栽培の苦労を語る。「植物とよく対話して、きちんと管理すれば応えてくれる」と花農家の仕事にやりがいを感じている。

■メモ
大内園芸
▽常陸太田市内田町3229
▽(電)080(1296)9636