高濃度アルコール、消毒液に代用を 茨城県内各酒造会社が増産
新型コロナウイルス感染拡大を受け、消毒液に代用できる高濃度アルコールを製造する酒造会社が茨城県内で増えてきた。厚生労働省が消毒液としての代替使用を認めたり、国税庁が製造に関する期間限定の免許を設けたりと、消毒液不足が深刻化する中、酒造会社では「少しでも社会の役に立てば」と生産増に取り組む。
明利酒類(水戸市)は3月16日に度数65度の高アルコールスピリッツのウオッカ「メイリの65%」を発売した。発売当初、あくまでも飲料用の商品として売り出し、医薬品医療機器法に触れる恐れがあったため、販売サイトでは「消毒や除菌目的での製造ではない」旨の記載も。しかし、全国から注文や問い合わせが相次ぎ、現在は受注から出荷まで1~2週間かかるという。
広瀬商店(石岡市)では、厚労省がアルコール濃度の高い酒の代替使用を認めたことに伴い、「白菊75%アルコール」を今月23日に販売開始した。ラベルには「酒」の表示とともに「手、指の消毒も可能」と明記した。同店8代目、広瀬慶之助さん(47)は「消毒用アルコールの逼迫(ひっぱく)は深刻。多くの県民に使っていただきたい」と話す。
高濃度アルコールの需要が高まる中、国税庁は21日、「スピリッツ」と「リキュール」の酒類製造免許の取得手続きなどを簡素化すると発表。これを受け、浦里酒造店(つくば市)は5月にも、75%の高濃度アルコール商品を販売開始する。代表社員の浦里浩司さん(59)は「国税庁の発表には驚いた。通常では考えられない」と状況の深刻さを実感する。特に医師からの要望が多いといい、「困っている人が大勢いることを知った。普段は日本酒のみの製造だが、柔軟に対応していきたい」と話した。
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