《食いこ》Panezza(石岡市) 薪窯で焼くイタリアパン

茨城新聞
2020年3月15日

石岡市八郷地区にあるパン工房「Panezza(パネッツァ)」。あるじでパン職人の角谷聡さん(48)が本場仕込みのイタリアパンを焼く。

イタリアの食文化に憧れ27歳から約4年半、イタリア各地でピッツァやパン作りなどを学んだ。ローマ近郊にある、古くからパンの街として知られるジェンツァーノのパン店では約1年半働いたという。

パン工房は古い農家の蔵の中。れんが造りの薪窯(まきがま)が存在感を放つ。「イタリアで薪を使ったアナログな製法に魅せられた。薪で火おこしから始め窯を温め、蓄熱で焼いている」。培ってきた経験や勘を頼りに焼き上げた素朴な風合いのパンが、窯の隣の棚に並んでいた。

「イタリアは地域ごとに食文化が確立し、パンもひとくくりではない」。角谷さんはジェンツァーノのパンを基本に作る。ふすま(小麦粉の表皮)をまぶした「ふすまパン」で、いろいろな料理に合うという。材料は国産小麦粉と塩、水、酵母だけ。酵母は小麦粉と水を混ぜ自然発酵させる。酵母を作るのに丸2日、焼き上げるのに6時間と手間暇をかける。

基本のふすまパンにレーズンやイチジクの具材を入れるなどした約10種類を作る。イタリア中部地方の水と小麦粉から作る「塩なしパン」もある。

イタリアから帰国後、都内や栃木県益子町のイタリア人が営むパン店で修業、2012年筑波山麓の同地区に移住し、準備期間を経て、パン工房を開いた。正式名は「Forno a legna Panezza(フォルノ・ア・レーニャ・パネッツァ)」。パネッツァはパンとピッツァを合わせた角谷さんの造語だ。県内外のレストランやホテルなどの卸、予約販売が主で、全国から注文が入る。

昨年12月、日本ではあまりなじみのないイタリアパンの魅力を伝えようと、カフェ「イタリア茶屋Panezza」を開いた。蔵の向かいにある趣ある古民家で、女性スタッフが切り盛りする。パン中心のランチやフレンチトーストなどイタリアパンの食べ方を提案する。地元産やオーガニックなど食材にもこだわった。パンなどの販売も行う。

■お出かけ情報
Panezza
▼住所は石岡市弓弦688
▼午前10時~午後5時
▼定休は火曜・水曜
▼(電)0299(51)5401、090(4164)7839

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