酒米の香り 冷気に漂う 大田原で寒仕込み

下野新聞
2020年2月7日
湯気が立ち上る中、蒸した酒米を放冷機に投入する蔵人ら

 大田原市須佐木の渡辺酒造で、新酒の寒仕込みがピークを迎えている。寒さが強まった6日は雪がちらつく中、午前7時ごろから蔵人3人が集まり、「旭興(きょくこう)」の大吟醸の仕込みに精を出した。

 この日の市内の最低気温は氷点下2・1度。底冷えする本蔵の中で地元産の酒米約200キロを蒸し上げると、甘い香りが蒸気と共に漂った。蒸した米は放冷機で一気に冷却。年ごとに米の性質を見極め、自然に冷ますか放冷機を使用するかを判断するという。今後は酒造タンクの中で約1カ月間醸造する。

 同酒造は1892年創業。「旭興」は代表的な銘柄で、昨年4月に南部杜氏(とうじ)協会主催の鑑評会で吟醸酒の部第1位に輝くなど、全国で高評価を得ている。渡辺英憲(わたなべひでのり)社長(46)は「暖冬でも影響はなく、順調に作業が進んでいる。今年の米は硬くて水に溶けにくいので、雑味のないきれいな味に仕上がりそう」と話した。

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