買場通りにぎわい再び 焼失の重伝建長屋復活 「カイバテラス」3月開業 きょうから毎週マルシェ
桐生市本町一丁目の国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)にあり、2016年に火災で全焼した明治初期の長屋が3月7日、修復を終えて店舗兼イベントスペース「カイバテラス」としてオープンする。開業に先駆け、19日から毎週日曜に食品やアクセサリーを販売するマルシェを開く計画だ。にぎわいの復活につなげたいと地域の期待が高まっている。
長屋は1882(明治15)年に建てられた。織物共進会の会場として利用された後、昭和初期まで織物を扱う定期市「買場(かいば)」として使われ、“桐生の商工業発祥の地”とされている。20年以上前から地域の交流施設「買場ふれあい館」として用いられ、長屋前の市道(買場通り)で毎月第1土曜に織物や食品などを売る青空市「買場紗綾市」を開いてきた。
ところが、2016年6月、紗綾市を終えた日の夜に火災が発生し、東側の屋根、柱、梁(はり)などの一部を残し焼失してしまう。所有者の北川紘一郎さん(79)は桐生の織物取引の歴史を伝える貴重な建物を残そうと、国、県、市と費用を出し合って修復し、昨年2月に外観工事が完了した。
復活する長屋で重伝建地区を盛り上げ、人が行き交う場所にするため、紗綾市実行委員で、近くの書店「ふやふや堂」を営む斎藤直己さん(41)ら市民4人が、活用に名乗りを上げた。
カイバテラスでは、斎藤さんが選んだ生活関連の書籍や絵本、文房具、県内のクラフト作家が手がけた食器やアクセサリーを販売する。物販やワークショップを開くスペースとしても貸し出す。2月にはキッチンを設置したり、フローリングを張ったりする内装工事を行う。
実行委の森寿作委員長(79)は、「若い人が受け継いでくれてありがたい。長屋周辺にかつてのにぎわいを取り戻したい」と目を細める。東久方町の古民家「四辻の斎嘉」で行う紗綾市と連携したい考えだ。
正式開業前のマルシェは毎週日曜(2月第1週のみ土曜)に行う。開業後も第1土曜と日曜を中心に、マルシェやフリーマーケットなどを予定している。開業後の営業は午前11時~午後7時で木曜定休。