《旬もの》ライス&グリーン石島(下妻市) 米の味生かす無添加菓子

茨城新聞
2019年9月29日

天高く馬肥ゆる秋。下妻市の「ライス&グリーン石島」は稲刈りに忙しい。同社は2008年に法人化。石島和美さん(62)が社長、妻の敦子さん(57)が常務を務める。国内向けのコシヒカリとミルキークイーン、酒米「五百万石」、海外輸出米、ソバなど約70ヘクタールを栽培する。

敦子さんが中心となって、自家栽培米を使った6次加工を行っている。13年自宅敷地内に加工所を建て、同社の加工部門の手作り工房「ママの手」を立ち上げた。愛情をかけて育てた米の味を生かし、保存料などの添加物を入れない加工品作りに励む。

米作りの基本は土。地元のスーパーやレストランなどの食品リサイクルの資源ごみを堆肥化し、土作りを行う自然循環型農業を行っている。「堆肥が土の中にいる微生物の餌となる。化成肥料や農薬は必要最低限。人間の予防注射のようなもの」と敦子さん。

自家栽培米で作るのは、生米をはぜさせたポン菓子を円形に圧縮して固めた「お米のお菓子」、古代米の玄米を使ったのし餅「あくね餅」と揚げ餅、みそなどを造る。米や加工品は直売のほか、道の駅しもつまなどに出している。

「お米のお菓子」はコシヒカリの白米、コシヒカリの玄米と白米、ミルキークイーンの白米、古代米とコシヒカリの4種類。「手軽に米を食べてもらえる」と14年ごろ加工機械を導入した。「米がよくないとおいしくない。米の味を味わってほしいので、無添加はもちろん、味付けもしていない」と材料は生米だけ。「そのまま食べても、スープに入れてもいい。お湯でふやかせば離乳食になる」と食べ方はいろいろ。若い母親からも喜ばれているという。

仲間内で造っていたみそを商品化した「熟みそ」は、自家製米こうじと同市産の大豆で仕込む。

現在、自家製コシヒカリの米こうじに、ミルキークイーンのおかゆで造る甘酒の商品化に向けて取り組んでいる。

敦子さんは20歳で結婚。「農家の嫁」となった。県の海外派遣事業や女性農業者の勉強会に参加するなど積極的に農業に携わってきた。和美さんとは仕事の上でも「よきパートナー」と認め合う。法人化したことで、定年を考えるようになった。加工部門は「将来の居場所づくりのため」。ずっと米に関わっていくと決めている。
■メモ
ライス&グリーン石島
▽下妻市今泉2015の2
▽(電)0296(44)7789

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