《食いこ》ギャラリー&カフェ あかり家(下妻市) 日本家屋でくつろぎの時

茨城新聞
2018年8月26日

築約90年の日本家屋を再生した下妻市の「ギャラリー&カフェ あかり家」。年月を重ねたたたずまいは懐かしい雰囲気にあふれる。河村徹さん(68)、喜恵子さん(64)夫妻が空き家だった徹さんの生家を再生し、2004年にオープンした。古い家屋のため「心苦しいが、10歳未満の子どもさんにはご遠慮いただいています」。

徹さんは「実家は木材商。昭和4年に建てられた店舗兼住居に誰も住まなくなり、周りからは壊した方がいいと言われたが残したかった」と話す。徹さんは陶芸と骨董(こっとう)、コーヒーが好きで、喜恵子さんは料理好き。「2人の好きなもので、家を生かそうと店を始めた」

喜恵子さんが腕を振るう料理の中でも人気の日替わりランチは、肉や魚、野菜などバランスの取れた家庭料理が中心。季節の食材をもとに楽しみながら献立を考えるという。予約制の「あかり家御膳」は漆器などの特別な器で提供される。カレーは「ビーフカレー」「ひき肉と豆のカレー」「ほうれん草とチキンのカレー」の3種類。スパイシーな香りに誘われて注文する客も多いという。料理やケーキは手作りのため、定休日も仕込みや仕入れに忙しい。

コーヒーは徹さんが担当。独学で腕を磨いた。手網焙煎(ばいせん)器で豆をローストし、ペーパーフィルターでドリップする。ハンドピッキングで悪い生豆をはじき、焙煎具合を記録する。「今日のコーヒーはおいしいと言われると苦労が報われる」と表情を崩す。ブラジル、コロンビア、キリマンジャロの3種類とアイスコーヒーがそろう。

玄関を入ると開放的な吹き抜けになっており、2階の和室から見下ろせる。1階の和室はテーブルと椅子でくつろげる。組子の障子から入る夏の日差しも柔らかい。当時の少しゆがんだガラスがレトロな感じを演出する。陶器や版画を飾るギャラリー。現代の機能性を取り入れながら、昔と今が溶け合い、昭和が息づく。「古い家は劣化ではなく経年変化している」とその風情をいとおしむ徹さん。「ごゆっくりお過ごしください」と夫妻が迎える。

■お出かけ情報

ギャラリー&カフェ あかり家
▼住所は下妻市下妻丁260
▼営業時間は午前11時半~午後3時(土曜・日曜は同5時)
▼定休は火曜・木曜・金曜。31日まで夏季休業
▼(電)0296(44)2008

【図表】
あかり家ギャラリーカフェ

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