道の駅まくらがの里こが 野菜好評、高める意欲

茨城新聞
2019年9月5日

「道の駅まくらがの里こが」(古河市大和田、今西陽介駅長)の野菜販売が好評を博している。新鮮で豊富な種類を“近所”の生産者が取りそろえ、売り上げは年々増加。2018年は約2億6千万円に達した。「良い品物なら買ってくれる。よりおいしい野菜を作りたい」。所得の増加は生産者たちの生きがいと品質向上、地域の活力につながっている。

▽売れればメール

県内外からの買い物客で連日にぎわう野菜直売所コーナー。まだ人けの少ない早朝、取れたての野菜をトレーに積んだ生産者たちが、手際よく野菜にラベルを貼り付け並べていた。

古河市新和田、舩橋春雄さん(68)は、13年のオープン以来の出品者。「ここに出せば安定して売れる。(出品するのが)面白い」。表情に自然と笑みがこぼれた。

今はトマトやナス、ハクサイを主に生産し、量も当初の2倍に増加。消費者ニーズに応えようと新品種の生産にも挑み続けている。「売れればメールで連絡が入るので、追加で持ち込む。メールを見るのが楽しみ」と充実感をにじませた。

同市大和田、児矢野(こやの)せつ子さん(65)は元会社員。患った病を忘れようと約5年前、家庭菜園の余剰分から出品を始めた。

「素人の私に、ほかの出品者や駅長たちが売れる野菜の作り方や見栄えする包装、並べ方などを教えてくれる。完売した時の喜びとコミュニケーションが楽しい」と笑顔で語った。

▽多様な品種魅力

地元産野菜は登録した約200人が出品。9割以上が市内在住だ。特に同道の駅に最も近い三和・総和地区から約30~50人が、年間を通じて旬の野菜や果物、米、花きを販売している。

「一部の生産者が作る中玉で甘いトマト、サラダに合うスイートキャベツなどが人気商品。そこから他の生産者の野菜の魅力も伝わり、好循環を呼んでいる」と、同道の駅の前野亮一店長代理は話す。

約20種に及ぶトウモロコシ、同市では珍しいマンゴーや青パパイア、黒ダイコンなど多様な品種も魅力。値段は生産者がつけるが、品質も含めた利用者の声を道の駅側から伝えるなどして、比較的割安な販売価格を実現しているという。

▽信頼関係が強み

同道の駅は鮮度や品質維持へ、農薬量や傷んだ野菜の入れ替えといった管理を徹底。一方で経験の浅い生産者に“売れる商品”へのアドバイスを送り、搬入を手伝うなどしてきた。

サポートから築いた地域の生産者との信頼関係が、同道の駅の強み。そこから生産者の意欲やブランド力向上にも結び付けている。

近隣には、新商品開発に力を入れる「道の駅ごか」(五霞町)、イチゴや土産物が人気の「道の駅しもつけ」(栃木県下野市)、建築家・隈研吾さんデザインの施設が魅力的な「道の駅さかい」(境町)などがある。道の駅こがは野菜のブランドを特色に、競争より共栄を図りたい考えだ。

「野菜販売を通じた地域振興を大切にしてきた」と前野店長代理は強調。今後は収穫体験イベントなどを催し、利用者に地元野菜をより知ってもらうことで「道の駅と生産者、利用者の関係を強めていきたい」と話した。

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