産廃処理のリプロテック 前橋のブドウでワイン 再生肥料で自社栽培

上毛新聞
2019年8月6日

 産業廃棄物処理業のリプロテック(前橋市富士見町赤城山、奈良秀人社長)は今秋、前橋で栽培したブドウで作ったワインを発売する。収集した廃棄食材を肥料に再生して自社農場で活用。育てたブドウも地域の特産品として売り込む。


 同社は食品工場や飲食店などから廃棄食材を回収し、農業用肥料や家畜用飼料を生産、農家や牧場に販売している。自社製品の肥料を活用した新事業としてワイン作りに着目。2016年に果樹園を設け、ワイン用のブドウ栽培を始めた。


 市内でワイン用ブドウを生産したデータなどがなかったため、ワインの製造販売に力を入れる長野県高山村の農家に協力を求めた。地元有志で組織する研究会に参加し、ブドウの生産農家に社員を派遣した。


 2.5ヘクタールの果樹園では赤ワイン用や白ワイン用など7種類のブドウを栽培。その中の品種の一つで赤ワインに適した「メルロー」が今秋に収穫できる見通しとなった。


 約4トンの収穫を想定しており、750ミリリットル瓶で4000~5000本のワインが製造できるという。醸造は栃木県足利市の業者に委託する。自社で販売するため、酒類販売業の免許を取得した。


 22年までに前橋市内にワイナリーを構え、自社醸造を開始する方針。収穫から販売までを市内で行う一貫体制を目指す。ワインの醸造過程で発生する搾りかすを県産牛の飼料にする計画もある。


 長野県高山村で学び、畑を管理する内田友理さん(25)は「ワインになるまで3年かかった。手塩にかけた前橋の味を早く届けたい」と話す。奈良社長は「すぐに利益が出る事業ではないが、市の名産になれるよう、30年後を見据えて技術や農法を確立していきたい」と期待している。