冬はおかんで一杯 評価高まる群馬の地酒 蔵元がこだわり競う 

上毛新聞
2016年12月2日

寒さが増してくると、日本酒が恋しくなる人も多いのでは。近年は県内蔵元の若手経営者が個性的な日本酒造りに取り組み、群馬の日本酒の評価は高まっている。忘年会や新年会シーズンを前に、地酒を豊富に扱う仲沢酒店(高崎市八千代町)を訪ね、日本酒の魅力やお勧めの飲み方を教えてもらった。

「原料がコメなので和食はもちろん、どんな料理にも合わせやすいのが日本酒の魅力」と社長の仲沢賢一さん(48)。かつては淡麗辛口が主流だったが、現在は各蔵元のこだわりが出て幅が広がっているという。
仲沢さんによると、県内蔵元は近年、30、40代の若手経営者に世代交代。オーナー自身が杜氏(とうじ)として酒造りに携わることで個性的なものが増えている。県外にも積極的にアピールし、全国的に注目される蔵も多い。
軽めですっきりした酒が好まれる夏に対し、常温やかん酒で飲む機会の多い冬は落ち着いた味わいの酒を選びたい。島岡酒造(太田市)の「群馬泉」や高井(藤岡市)の「巖(いわお)」がお薦め。かんをつけると味がまろやかになる。
香りの強い吟醸酒のかんはぬるめなど、種類によっておいしく飲める温度は違うので、専門店で聞くといい。仲沢さんは「合わせる料理や、今まで飲んでいた種類から相談するお客さんは多い」と話す。日本酒初心者には華やかな香りの吟醸酒が飲みやすい。
12月は各蔵で新酒が出始める。中でも貴娘酒造(中之条町)の「咲耶美(さくやび)」、町田酒造店(前橋市)の「町田酒造」、柳沢酒造(同)の「結人(むすびと)」の直汲(じかぐ)みの生酒は人気が高いという。
フルーティーな日本酒はワイングラスで飲んでもおしゃれ。日本酒はアルコール度数が高いため、合間に飲む「和らぎ水」を用意しよう。酒と同じくらい飲むと深酔いしないとされる。
普段飲むには一升瓶で2千~3500円くらいが手頃。正月や祝い事、贈り物は5千~1万円程度のものを選ぶと特別感が出る。

◎発泡酒や熟成酒も
原料や精米歩合、製造工程の違いなどによって、さまざまな味を醸し出す日本酒は、飲み比べるのも楽しい。
永井酒造(川場村)の発泡性日本酒「水芭蕉 純米吟醸辛口スパークリング」はのど越しがいい。
清水屋酒造(館林市)の「榮万寿(さかえます)」は熟成酒。コルク栓のワインボトルを使っているのも特徴的だ。「大盃」で知られる牧野酒造(高崎市)が製造するぐんまちゃんラベルの「榛名山」はお土産用に人気があるという。