《食いこ》ワインデマミ(水戸市) 作り手の思い伝えたい

茨城新聞
2019年8月4日

約3000本の多彩なワインが並ぶ水戸市のワインショップ「ワインデマミ」。店内はひんやりとして少し暗い。「お客さまの手元に品質を変えずにワインを届けるため寒く暗くしている」と代表の植田真未さん(47)。ワインへの深い愛情が言葉の端々に感じられる。

店ではシニアソムリエで日本ソムリエ協会茨城支部長でもある植田さんをはじめソムリエ資格のある社員が接客する。「生産者の人柄やワインに懸ける思い、生産国の歴史や風土まで伝えたい。作り手の思いを知れば、もっとおいしくなる」と熱い。一本一本を紹介するポップにも工夫を凝らす。「爽やかで柔らかな甘さ」「濃厚&エレガント」など特徴を銘柄よりも目立たせ、味わいやお薦めの料理は絵で分かりやすく表す。

「ワインショップは敷居が高いかもしれないが、初めての方もぜひ来てほしい。どんな要望にも応えたい」と丁寧な接客が信条。「県外からも買いに来てくれる」と言う品ぞろえも自慢。プレゼント用に来店する人も多い。「贈り主の思いが届くように、ぴったりのワインを選んであげたい」と笑顔を見せる。

植田さんの実家はメインストリートの商店街に店を構える酒店だった。子どもの頃は「酔っぱらいが嫌いだった」が、東京での大学生時代、カリフォルニアのワイナリーツアーへの参加が転機となった。ブドウの栽培やワイン造りに携わる人たちに触れ「情熱と愛情を込めてワインが造られていることに感動した」と振り返る。その後、ワインに関する勉強を重ね、大学卒業後は有名レストランやワインバーなどで経験を積んだ。

20年以上前、実家の酒店に戻り、セミナーなどワインの普及活動を始めた。今も県内外を飛び回り、年100回を超えるセミナーの講師を務め、ワインの魅力を伝える。合間には、海外のワイナリーに出掛けるなど、生産者と交流を図ることも欠かさない。

東日本大震災で実家が全壊し倒産。その処理に奔走した。「お世話になった人へ恩返しをしたい」と2012年に同店を開いた。そのかいあって、2月に「優良経営食料品小売店等表彰事業」で最優秀の農林水産大臣賞に輝いた。

■お出かけ情報
ワインデマミ
▼水戸市見川2の49の2
▼営業時間は午前10時~午後8時
▼定休は日曜・祝日
▼(電)029(224)4301

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