鹿嶋の農園 地ビール醸造所開設

茨城新聞
2016年8月7日

無肥料無農薬で自然栽培の野菜やコメなどを生産する鹿嶋市猿田の農園「鹿嶋パラダイス」(唐澤秀代表)が先月、同市宮中の鹿島神宮参道沿いに、大手メーカーとはひと味違う農家発のご当地ビール醸造所「パラダイス・ビア・ファクトリー」をオープン。地ビール造りに本格的に乗り出した。鹿行地域での開設は初めてで、代表の唐澤さん(40)は「地ビールの文化を鹿嶋に根付かせたい」と意気込んでいる。

鹿嶋パラダイスは2012年に農産物や加工品の販売とカフェを兼ねた「樂田家(らくだや)」を開店した。今回、醸造所開設のための新会社を設立。2年がかりで財政面や事業計画などの免許取得条件を整え、4月1日付で発泡酒製造免許を取得。店舗改装を経て7月16日にオープンした。

350リットルの発酵タンク2基を備える醸造所では現在、ドイツ産などの麦やホップを使ってビールを製造している。一方、市内の畑で原料となる二条大麦(ビール麦)の生産を始め、ホップは個人宅などの協力を得て栽培する「ホップグリーンカーテンECOプロジェクト」で調達する。唐澤代表は原料全てを地元産で賄うことを目指しており、年末には「オール鹿嶋」の地ビールを発売予定だ。

現在提供しているビールはヴァイツェンなど3種類。唐澤代表が「麦を通常の2倍以上使い、水も市内の井戸水を利用している」と胸を張る自信作だ。

新規分野への取り組みは、以前ドイツで飲んだビールのうまさに魅了され「おいしいビールを飲みたい造りたい」と思ったのがきっかけ。一念発起して各地の醸造所を巡り、東京・銀座の醸造所兼居酒屋で指導を受けて必要な技術を学んだ。当初はそこで造ったビールを「樂田屋」で提供した。

唐澤代表は「麦もホップも地元で調達できる。みんなに認知してもらい、誇れるものにしたい。参道の活性化の一助になれば」と話している。同店ではビールかすで育てた豚の肉を使った自家製ソーセージ、ロースハム、ピザなどのメニューもそろえている。

パラダイス・ビア・ファクトリーの営業時間は午前11時半~午後4時、午後6~9時。日曜は午前11時半~午後4時。月曜定休。(電)0299(77)8745

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