《旬もの》沢田茶園(牛久市) 栽培から加工、情熱注ぐ

茨城新聞
2019年6月2日

茶と落花生を主力に、アワやキビなどの雑穀類の栽培から加工、販売までを一貫して行う牛久市の沢田茶園。茶は減農薬、落花生と雑穀類は無農薬で栽培する。「仕入れではなく、自分の作った物だからどうやってできたか全部分かっている。責任を持って安心して売れる」と4代目の沢田臣男さん(50)。5、6月は新茶作りと落花生の種まきが重なり特に忙しい。

同園の創業は1926年。「奥久慈茶、さしま茶、古内茶が県内産地として知られるが、昔は県南地域にも組合があり30軒近く栽培していた。牛久ではうちぐらい」

沢田さんは26歳で家業を継いだ。「甘味のあるおいしい緑色のきれいなお茶を作りたい」と栽培加工に情熱を傾ける。同園の茶は全て収穫1週間前に茶の木に黒い覆いを掛け遮光する「かぶせ茶」。こうすると「甘味、うま味がよく出て、いれたお茶もよりきれいな緑色になる」と手間をかける。製茶の工程でもこだわりがある。その一つが蒸す作業。「刈り取った直後は茶葉がみずみずしく、よく蒸せない。6時間寝かせると蒸し具合がよく味やうま味を引き出せる」

「茶は育てるのも作るのも繊細。機械の設定が同じでも、その日によって出来上がりが変わってしまうほど、さじ加減が微妙。どんなによくできても、もっといい物ができると思う。完成形はない。死ぬまで勉強」と力を込めた。

落花生は一般的な「ナカテユタカ」「千葉半立」のほか、珍しい「黒落花生」を栽培する。黒落花生は殻だけを見ると、薄皮の赤い普通の落花生と区別がつかないが、開けてびっくり。真っ黒の薄皮が顔を出す。味も食べ慣れている落花生より甘味が強い。

「お客さんに興味を持ってもらおう」と20種類以上の落花生を試作し、「栽培は難しいが味の良かった」黒落花生を3、4年かけて商品化した。「干ばつに弱いため水をまく施設が必要で、収穫適期も普通の落花生は2週間程度だが、黒落花生は5日ぐらいしかない。早過ぎると粒が小さく、遅いと芽が出てしまう」と栽培の苦労を語る。

黒落花生は現在品切れ。落花生は10月に収穫する。新豆は11月1日から販売を開始する予定。

■メモ
沢田茶園
▽牛久市女化町30
▽営業時間は午前8時~午後7時
▽(電)029(872)0307

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