「75杯残さず食べろ」 日光山輪王寺で強飯式
下野新聞
2019年4月3日
日光山輪王寺の三仏堂で2日、強飯式(ごうはんしき)が行われた。修行僧に扮(ふん)した僧侶が、強飯頂戴人(ちょうだいにん)と呼ばれる参列者に飯を無理強いする奇習。お堂に詰め掛けた参拝者は、1200年余も受け継がれてきた儀式に固唾(かたず)をのんで見入っていた。
この日は夜来の雪もやみ、境内は春の光に包まれた。堂内の静寂な空間を突き破るかのようにホラ貝が響き渡り、僧侶が入堂。
頂戴人の頭上に、3升の山盛りの飯を差し出し「75杯一粒残さず食べろ」などと責め立てた。昔から頂戴人や参列者は難を逃れ、福を授かると語り継がれている。
強飯式は、かつて修行僧が山中の供え物を持ち帰り人々に分け与えたのが始まりと言われている。江戸時代には、幕府の威光を背に日光参詣の諸大名に飯を無理強いするようになったことから「日光責め」とも言われた。