ダム完成控え人気 19年度上半期 一部に予約制 最後の“湖底見学”や住民語り部10プラン

上毛新聞
2019年3月30日

 2019年度の完成を予定する八ツ場ダムの工事現場を見学する国土交通省のインフラツーリズム「やんばツアーズ」の人気が、完成が近づくにつれて急上昇している。18年度(2月末現在)の参加者は約5万3000人で、前年度からほぼ倍増。同省八ツ場ダム工事事務所は28日、19年度上半期(4~9月)の見学プランを発表した。人気が高い一部ツアーは新たに繁忙期に予約制を取り入れ、可能な限り多くの人に見学してもらう方針だ。

 同事務所によると、17年度のツアー客は約2万9千人だった。ダムの周辺にある道の駅「八ツ場ふるさと館」、「なるほど!やんば資料館」、展望台「やんば見放台」、行政視察を含めると18年度は延べ約34万人(2月末現在)が訪れた。

 19年度上半期は、ダムの水がたまる湛水(たんすい)地バスツアーや地元住民が語り部となる見学会など計10プランを用意。先着順の個人向け「ぷらっと見学会」は参加希望者が集中し、用意したヘルメットが不足し参加を断ることもあったことから、需要が集中する大型連休やお盆前後、9月の祝日などは予約制とすることにした。

 湛水地を巡るバスツアーは日曜限定で1日5回開催する。案内役となる「やんばコンシェルジュ」がかつての写真を示しながら旧川原湯温泉駅があった場所などを説明し、ダム本体を下から見上げる。バスから降りることはできないが、秋頃には試験湛水が開始されるため、湖底となる場所を眺められる最後のチャンスとなりそうだ。

 プレミアム見学会と銘打った地元主体の有料ツアーも充実させた。地元ガイドの案内による見学会は、ダム周辺地域の活性化を目指す「チームやんば」(樋田省三代表)が開く。地元を熟知した住民が語り部となり、町の歴史や今後の思いを語る。6~9月に月1回のペースで行う予定だ。道の駅「八ツ場ふるさと館」による季節限定見学会は4月29日に開かれ、新緑の吾妻渓谷(東吾妻町)とダムを合わせて見学する。

 同事務所の遠藤武志副所長は「工事終盤を迎え、多様なツアーを用意した。多くの人に参加してもらい、今しか見られない景色を目に焼き付けてほしい」と呼び掛けている。

 28日に開かれた報道向けの現場見学会でプランを発表。ダム本体のコンクリート打設がほぼ完了し、完成の形に近づいていることなどが説明された。

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