《食いこ》たつご味噌醸造(高萩市) 江戸期創業、庭園見どころ

茨城新聞
2019年3月31日

高萩市の「たつご味噌醸造」は常磐道高萩インターチェンジの近くにある。屋敷林に囲まれた広い敷地に蔵が立ち、趣のある日本庭園が広がっていた。

社長の舟生繁治さんによれば、「たつご」の名は室町時代に大塚氏が築城したという竜子山(たつごやま)城に由来するという。創業は江戸時代、1854(安政元)年と伝えられ、代々この地でみそ造りを行う。

みそ蔵は建て増ししながら長年みそ造りを行ってきた。外には時代を感じさせる煙突がそびえる。蔵の中には、100年以上使い続けているという約4トンの大きな木桶(きおけ)が置かれていた。「今はFRP(繊維強化プラスチック)という素材で造っているが、何本かの木桶は現役」と舟生さん。

みそ造りの工程を簡単に紹介すると、蒸した米にこうじ菌をつけ米こうじを造る。浸水した大豆を蒸してつぶし、米こうじと塩を混ぜ合わせ、発酵熟成させる。「蔵ぐせといって、蔵には発酵のための菌がすみ着いている。木桶にもいる。いい菌がうち特有のおいしいみそを造ってくれる」。重ねてきた時間が、その蔵ならではの、みその味わいを醸してくれるのだ。

看板商品は、原料にこだわった国産大豆と米を使い、約1年熟成させた天然醸造の「たつごの里」や米こうじをたっぷり入れ甘めに仕上げた「愛娘」。

しそ南蛮みそ「めしどろぼうさん」も人気。父で会長の舟生佳紀さんが商品化し、2001年から販売する。南蛮は唐辛子のこと。みそはもちろん、シソや青唐辛子も自家栽培している。甘辛な味はご飯が進むだけでなく、調味料としても万能。納豆に混ぜたり、野菜炒めの味付けにしたりと食べ方はいろいろ。

「観光庭園味噌蔵」を名乗り、四季折々で表情を変える庭園を見学できる。観光バスが立ち寄ることも多い。「こけむした庭園は5月の連休のころはツツジ、秋は紅葉がいい」と繁浩さん。

予約制でみそ蔵も見学できる。昔ながらのみそ造りが体験できる教室を月2回開催する。直売所では、同社のみそだけでなく、みそを使った菓子なども販売する。

■お出かけ情報
たつご味噌醸造
▼住所は高萩市上手綱75
▼直売所の営業時間は午前8時~午後5時
▼不定休
▼(電)0293(23)5222

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