《職人名鑑》米の味わい手作りで
上毛新聞
2019年2月27日
◎老舗三俣せんべい(前橋市三俣町) 吉田将輝さん(50)
1855(安政2)年に創業し、160年以上続く老舗せんべい屋の6代目。百年以上前に建てられたという歴史ある本店には60種以上の商品がずらりと並ぶ。
先代の父から引き継いで25年。社長となった今でも時折現場に立ち、従業員と一緒にせんべい製造に携わる。商品について意見を交わし合うこともあるといい、「若い人の発想は面白い」と目を輝かせる。
国産のうるち米を使用。天候や気温に合わせて乾燥させる時間を調整して生地を作り、基本的に手作業で焼き上げる。「米の味を引き立てるには手作りが一番」とする。
看板商品は地元メーカーのソースを使い、ほのかな甘みが特徴の「ソースせんべい」(100グラム370円)。黒砂糖を塗った「黒砂糖せんべい」(5枚入り370円)も代々受け継がれてきた一品で、本店だけで販売している。
味や食感の改良はもちろん、パッケージも工夫し、研究に余念がない。「伝わってきたものを尊重しつつ、時代に合わせて変化させていく」。幅広い年代に愛されるせんべいを目指し、挑戦は続く。