JR水戸線130年 記念イベント若手発案

茨城新聞
2019年1月16日

県内で初めて水戸市につながった鉄道・JR水戸線が16日、開業130周年を迎える。節目を祝おうと、JR東日本水戸支社は、下館駅の若手社員が中心となって記念イベントを企画。沿線自治体を巻き込み、記念ロゴのヘッドマークを付けた列車の出発セレモニーなどを行うことになった。企画した同駅員で入社2年目の増田佳樹さん(24)は「催しを通して利用客に日頃の感謝を伝えたい」と話し、多くのファンの来場を期待している。

水戸線は1889年に小山(栃木県小山市)-水戸駅間で開業。現在は小山-友部駅間の50・2キロを走る。同支社は、水戸線の開業130周年を控え、利用客に感謝を伝えようと、記念イベントの開催を決定。増田さんら下館駅に勤める20代の若手社員4人が昨年5月、内容を立案した。

増田さんは土浦市出身。入社まで水戸線に乗ったことがなかった。下館駅で窓口や改札業務などを担っており、「一人一人と丁寧に接する時間がある。(同線は)お客さまとの距離感が近い」と魅力を語る。

4人は業務の合間を縫って企画の内容を検討。同支社営業部に企画書を持ち込み、修正しながら打ち合わせを重ねた。当初は開催目的について意見の相違があったが、一貫性を持たせようと「水戸線のファンづくり」を軸に据えた。企画が正式に認められたのは昨年8月。沿線の自治体と連携し、多彩なイベントを開く内容に決まった。

出発セレモニーで走らせる列車の記念ロゴは、停車駅などの駅員らから募り、コンペを開催。130周年の文字を大きくし、現在、運行する「E531系」とレールを盛り込んだデザインを採用した。下館駅で見学を受け入れている筑西市内の幼稚園に協力を依頼し、展示する塗り絵を124枚集めた。120周年でも行ったスタンプラリーは、より歴史を感じてもらおうと、歴代の列車をかたどったスタンプに変えた。

同支社によると、水戸線の乗客は1992年度をピークに減少傾向にある。平均通過人員(1日1キロメートル当たりの乗客の人数)は同年度の1万917人から2017年度が約3分の2の7083人にまで落ち込んでいる。下館駅の冨田保男駅長(55)は「鉄道は地域がなければ成り立たない。皆で盛り上げることに意味がある」と、若手社員の企画に期待している。

出発セレモニーは下館駅で19日午前11時20分から。列車の出発は同30分で、式典自体はすぐに終わってしまうが、当日は駅内外で体験コーナーや地元特産品の販売などを予定。県内外のJR社員や筑西市職員ら170人以上が対応する。増田さんは「若手だけではここまでの企画はできなかった。イベントを通じて地域の活性化や水戸線の利用促進につながれば」と話した。 

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