《旬もの》ななほし農園(小美玉市) 自家製野菜たっぷり弁当

茨城新聞
2018年6月17日

小美玉市の「ななほし農園」は東ケ崎剛さん(55)、妻の郁乃さん(51)夫妻が営む。「農薬や除草剤を使わず、土の中にいる微生物の力で育てる」が同園の方針。野菜や米などの農産物を育て、野菜たっぷりの弁当を作る。農園名は、アブラムシを食べる益虫のナナホシテントとラッキーセブンから付けた。

夫妻は脱サラして農業を始めた。結婚8年目に授かった子どもの母体内の死がきっかけ。そのとき、産婦人科医から「食べ物の大切さ」を教わり、多忙を極めた会社員生活から農業の世界に飛び込んだ。長野県で約5年、試行錯誤し、剛さんの古里、同市に移り農園を開いて10年になる。

少量多品目で、年間50種類以上の野菜を栽培。米や小麦、豆類も育てる。栽培面積は田畑合わせて約110アール。週2回、取れたての野菜や加工品を宅配で届ける。この日はサニーレタスやキャベツ、ジャガイモなどをそろえ、出荷の準備を行っていた。「最低でも8種類は入れる」と剛さん。トマトやナス、ピーマンなど夏野菜の収穫も近い。お試しパックを用意する。2~5月前半は宅配を休み、種まきや育苗などの作業に忙しい。冬はみそ造り教室を開く。

野菜が主役の弁当は彩り豊か。同園や近隣農家が作った農産物を使う。「野菜の味を出すため、塩、しょうゆ、砂糖、こしょうと味付けはシンプル」と郁乃さん。調味料を厳選し、マヨネーズは手作り。化学調味料や保存料は使わない。「農家のお母さんが作る家庭料理」を意識する。弁当は炊き込みご飯「鶏ごぼう飯」や赤飯に、旬の野菜のおかずや卵焼きなど。揚げ物や肉類はほとんど入れない。おにぎりや薄い卵焼きで包んだ「オムたん」、握らないおにぎり「おにぎらず」も作る。

郁乃さんは4年前から2年間、同市の地域再生拠点施設「空のえき そ・ら・ら」のチャレンジショップを地元農家の女性と共同で経営。その後、弁当の製造を本格的に始め、販路を開拓した。同市生まれのゴボウ「柳川理想」を使った鶏ごぼう飯は地域で作り上げた料理で、チャレンジショップの頃から作り続けている。

弁当は週3回、県庁と県立中央病院(火・木)、わくわく広場イオンモール水戸内原店(火・木・土)、ポケットファームどきどき茨城町店(土)に出している。

■メモ
ななほし農園
▽住所は小美玉市先後348の1
▽(電)0299(48)3835

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