JAなめがた 「焼き芋」世界発信 サツマイモ北米輸出

茨城新聞
2018年1月16日

JAなめがた(本店行方市)は15日、サツマイモの北米輸出を始めた。初日は同JAのブランド品種「紅優甘(べにゆうか)」800ケース(10キロ箱)をカナダに出荷。冷凍焼き芋のアメリカ輸出も計画している。棚谷保男組合長は「焼き芋での食べ方を提案し、世界共通語として『YAKIIMO』を広めたい」と意欲を見せた。

北米輸出を記念し、行方市島並の同JA営農経済センター麻生で同日朝、式典が開かれた。棚谷組合長や同JA甘藷(かんしょ)部会連絡会の箕輪秋雄会長、同市の鈴木周也市長らがテープカットで祝った。

輸出に当たり、専用の新たな段ボールを作製。側面に「JAPANESE SWEET・POTATO」と書かれた箱が大型トラックの荷台にぎっしりと積まれた。集まった関係者が焼き芋を手に「乾杯」し、送り出した。

サツマイモは、神奈川県内の港から船で運ばれ、約2週間後にカナダに到着する。同JAは、年間を通じておいしい焼き芋を提供できるようにと、甘味を生み出す定温貯蔵技術と品種リレー出荷を確立している。輸出では、紅優甘のほか、「紅まさり」「紅こがね」などの品種を時季ごとに使い分ける。

北米ではサツマイモの食文化が未発達として、輸出とともに焼き芋など食べ方を提案していく。

同JAはこれまで、スーパー店頭での電気オーブンによる販売や、栽培から貯蔵、出荷、販売までを徹底管理する独自の焼き芋販売戦略を展開してきた。

産地の栽培面積は05年からの10年間で487ヘクタールから700ヘクタールに大幅増。販売金額は年間14億5千万円から36億9千万円と約2・5倍に伸びた。昨年、実績が評価され、農林水産祭天皇杯を受賞した。約3年前に始めたタイ、マレーシアなど東南アジアに対する輸出が、カナダの担当者との取引実現につながった。

同JA営農経済部は「これまでは産地の需給バランスにより、出荷や価格にばらつきが出た。海外輸出で安定化を図り、農業所得のさらなる向上を目指す」とする。2020年東京五輪をにらみ、国際認証「グローバルGAP」取得への取り組みも強化する。

生産者の代表として箕輪会長は「品質管理などの課題はあるが、失敗を恐れずにチャレンジしていきたい」と話し、輸出拡大へ意欲を見せた。

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