海外富裕層も照準 日光エリア ホテル・旅館新設相次ぐ
国際観光地である日光市の日光エリアで、ホテルや旅館の建設計画、開業の動きが相次いでいる。8月にオープンした施設も含め現在、計画公表や開業の動きは5施設に上り、このうち3施設は富裕層向けの高級ホテル・旅館だ。昨年の県内外国人宿泊者数が過去最高の21万人となる中、「海外富裕層の受け皿づくり」による日光の注目度向上とさらなる観光振興が期待される。
富裕層向けの3施設は、東武鉄道(東京都)が米ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルと中禅寺湖畔に開く「ザ・リッツ・カールトン日光」、同鉄道と不動産会社ヒューリック(同)が日光田母沢御用邸記念公園隣接地に計画する「日光 ふふ」(仮称)、日光ホテルズ(日光市安川町)が二社一寺西参道沿いに建設中の「日光西町倶楽部(くらぶ)あらとうと」。各施設は10月から2020年夏にかけて開業を予定する。
リッツはマリオット社の最高級ホテルブランドを強みとし、ふふは国内トップレベルの高級温泉旅館を掲げる。あらとうとは9部屋全室をスイートルームとし、「どちらかと言えば日本人の年配客がターゲット」(日光ホテルズ担当者)という。
リッツの開業計画について、あしぎん総合研究所の相馬祥朗(そうまよしろう)企画部長は「海外の富裕層を受け入れられる国内の宿泊施設は乏しく、その受け皿づくり」と指摘。日光エリアで相次ぐ富裕層向け施設開業の動きについては「日光は二社一寺や奥日光の自然など、外国人のニーズにも幅広く応えられるポテンシャルの高い場所。インバウンド(外国人誘客)機運の高まりに加え、明治期に外国人によって見いだされた日光の価値が改めて注目されている」と分析している。
一方、残る2施設は、なごみコーポレーション(栃木市平井町)の温泉ホテル「旅籠(はたご)なごみ」と日光ホテルズの「日光ステーションホテルⅡ番館」で、いずれも8月に開業した。なごみは年配客を中心に家族連れも含む中流層を、Ⅱ番館は手頃な料金設定でバックパッカーらを想定しており、富裕層路線と差別化を図っている。
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