《食いこ》soba&coffee SATAKE(茨城・常陸太田市) 常陸秋そば香るスイーツ

茨城新聞
2023年9月7日

茨城県北地域のそば畑が白い花で埋め尽くされると、新そばの季節が待ち遠しくなる。茨城県のブランド品種「常陸秋そば」の産地には、新そばならではの風味を求め、多くのファンが訪れる。

古民家風のカフェ「SATAKE(サタケ)」は、そばの産地である同県常陸太田市内に2022年5月、オープンした。自家製粉でひきたてのそばを提供する「そば園佐竹」の敷地内にあり、代表の川野仁さん(50)は「そば粉を使ったスイーツなど、そばの新たな魅力をカフェから発信したい」と話す。

外観は和の雰囲気が漂う

 

カフェオリジナルのそばのほか、そば粉を使ったスコーンやプリン、シフォンケーキ、アイス、豆乳ラテなどをメニューに掲げる。人気の「くるみダレそば」は、濃厚なつけだれに負けないそばの風味が引き立つ一品。店で焼くスコーンをはじめとしたスイーツも、優しい甘さとそばの香りがほど良いバランスに仕上がっている。

厨房(ちゅうぼう)に立つ川野さんは、そば園佐竹の2代目。「医食同源」「地産地消」を信条とする先代の遺志を受け継ぎ、脱サラして修業した。

国産材をふんだんに用いた開放的な店内

 

店では、そば殻ごと粉にするひきぐるみで、つなぎが少し多めの三七そばを使う。川野さんは独学で試行錯誤を重ね、スタッフと相談しながら店の味を習得した。それでも「朝夕で加える水の量が違うなど、そばの味を一定に保つための条件は毎回違う。日々修業です」と笑う。

自身がコーヒー好きだったこともあり、カフェを「常陸秋そばの可能性を探り、広げていく場所」と位置付ける。そば屋の入店待ちや食後のお茶など、食事以外にも気軽に立ち寄り、活用してほしいという。

川野さんは現在、市内22店舗が名を連ねる「常陸太田のおそば屋さんの会」会長を務めている。常陸秋そば発祥の地で営業する各店舗が連携し、ブランド力を強化するための活動を続けてきた。そば粉を使った商品開発や技術研さん、スタンプラリーの実施、後継者の育成など、一丸となって取り組む。

健康の基本は「食べること」。先代の思いを胸に「おいしい常陸秋そばで地域を盛り上げたい」。

■お出かけ情報
soba&coffee SATAKE
▽常陸太田市天神林町5の207の2
▽営業時間は午前10時~午後5時
▽定休は日曜
▽(電)0294(33)8221