「戦争に目を向けて」ウクライナの現実を撮影 児玉さん写真展 群馬・桐生市

上毛新聞
2023年8月25日

ロシアによる侵攻を受けるウクライナの人々を撮影した写真家、児玉浩宜(ひろのり)さん(39)=東京都=の個展「Song to the siren ことばが黙する時、聴こえてきたもの」が19日、桐生市の有鄰館で始まる。悲惨さを訴える報道写真とは一線を画し、現地で生の声を聞き、ありのままの住民の姿を捉えた約30点を紹介。児玉さんは「戦争への関心が薄れてきている。同じ世界で起きていることであり、写真を見ることで目を向けてほしい」と訴える。27日まで。

児玉さんは兵庫県出身。民放勤務を経て、NHKで報道カメラマンとしてニュースやドキュメンタリーを手がけた。退職後にフリーの写真家となり、2019~20年には香港民主化デモを現地で撮影。ウクライナには開戦間もない22年3月に初めて入った。計4回訪れ、昨年は写真集を刊行している。

黒海沿岸のオデッサの海で、日光浴をする人々の中を歩く兵士を題材とした一枚は、日常と非日常が同居する現実を捉えた。人気のない町中を悠々と歩く数匹のヤギ、肖像風に撮影した人々の写真などが並ぶ。

親ロシア派が多いドンバス地方を訪れた際は、住民はどちらの政府を支持しているかなど本音を語ってくれなかったという。児玉さんは「ニュースで聞いたイメージと異なる、頭で整理できないような現実があった。人々の表情など隅々まで見てそれぞれに感じてもらいたい」と話した。

市民らでつくる「本やアートを楽しむ町を作る会」(斎藤直己代表)が主催。20日は児玉さんとグラフィックデザイナーの惣田紗季さんの対談、26日は児玉さんが作品を解説する。いずれも午後4~6時で、参加費2000円(大学生以下1500円)、定員50人(予約優先)。

午前10時~午後8時(最終日は同6時)。21日休館。問い合わせは斎藤代表(☎080-2488-6359)へ。

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