併用絣 鮮やかに復活 伊勢崎でお披露目 技術継承へ決意新た

上毛新聞
2016年12月7日

伊勢崎市民有志と職人らが本格的な生産が終わってから半世紀ぶりに復活させた伊勢崎銘仙の一つ、併用絣(がすり)を披露するイベントが5日、市内の結婚式場で開かれた。関係者や市民ら約150人が世界唯一の技法が生む色鮮やかな振り袖や反物に見入り、次世代への技術継承に向けた決意を新たにした。

完成したのは市指定重要文化財の旧時報鐘楼や市の花、ツツジなどが鮮やかに描かれた3種類の反物。絵柄は世界的なテキスタイルデザイナー、須藤玲子さんらが考案し、かつて生産に携わった職人ら約20人が半世紀ぶりに腕を振るった。
会場には反物をピンで留めてつくったピンワークドレスなどを展示。職人らの紹介に続き、四ツ葉学園中等教育学校6年の堀川桃佳さんがツツジの振り袖姿で登場すると、一斉に拍手が湧き上がった。
市内から訪れた吉沢和代さんは「すてきな振り袖。職人さんの後継者など難しい問題もあるが、この技術が世界に羽ばたいてほしい」と話していた。
経(たて)糸の密度や張力を整える「整経」の工程を妻の昭子さん(82)と担当した大山仙八さん(83)は「本当によくできた。本気でやりたい若者がいたら教えたい」と力を込めた。
併用絣は同市で独自に発展した技法。型紙を使って経糸と緯(よこ)糸の両方に多彩な絵柄を先染めし、ずれなく織り合わせて色鮮やかに表現する。絹糸の着物用は昭和30~40年代に本格的な生産が終了したとみられ、高い芸術性があらためて評価されている。
プロジェクトは職人の高齢化が進む中、技術が完全に失われる前に記録し次代に伝えようと、いせさき銘仙の会代表世話人の杉原みち子さん(68)と会員の金井珠代さん(60)らが立ち上げ、1月に制作を始めた。
杉原さんは「プロジェクトは現在進行形。技術と文化を残す取り組みを続けたい」と話していた。
3種類のデザインのうち「時報塔」「赤れんが」のピンワークドレスは25日まで、いせさき明治館(同市曲輪町)で展示される。

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