尾瀬玄関口の鳩待山荘と休憩所建て替え 昭和の山小屋一新 オール電化で25年開業へ 群馬・片品村

上毛新聞
2023年5月17日

尾瀬国立公園で山小屋4棟を経営する東京パワーテクノロジーは、尾瀬ケ原の玄関口、鳩待峠(群馬県片品村戸倉)に立つ築40年以上の鳩待山荘と休憩所を、2年がかりで建て替える。社会の変化を受け、大部屋の和室のみだった昭和時代の山小屋を、全て洋室に一新。同国立公園の片品地域が昨年、環境省の「ゼロカーボンパーク」に登録されたことを踏まえ、オール電化を採用する。10日に起工式を開き、2025年の開業を目指す。

鳩待山荘は今期から営業を休止している。1980年の完成から既に築43年が経過。築44年の休憩所とともに、老朽化が進んでいた。

尾瀬は豪雪地帯のため、5月から11月までの半年間しか工事を進められない。計画では2023年中に現在の山荘を解体し、反対側に新設する休憩所とともに2年がかりで建設する。

デザインは成瀬・猪熊建築設計事務所(東京都)が手がける。2階建ての新山荘は建築面積約290平方メートル、延べ床面積約500平方メートルで、既存施設と同規模だが、部屋の間取りを一新する。全て洋室とし、2人部屋と家族向けの4人部屋、2段ベッドを置いたソロ用の相部屋を設け、定員を66人から42人に減らしてゆとりを確保する。

尾瀬国立公園の片品地域は昨年4月、国立公園で積極的に脱炭素化を進める「ゼロカーボンパーク」に登録された。パーク内では持続可能な観光地づくりが進められる計画で、新たな山荘はオール電化を採用する。

新休憩所は楕円(だえん)状の多角形で、約440平方メートル。展示コーナーを設け、尾瀬の情報を発信する。現施設は今期も営業しており、新施設の完成後に取り壊す。

鳩待山荘は近年、早朝から尾瀬ケ原に向かうハイカーの通過点となっている。現在の宿泊客は至仏山の登山者らが大半というが、山荘の新築により、滞在拠点として宿泊客を増やしていくことを目指す。同社尾瀬林業事業所の平石忠一所長は「新たな鳩待山荘を、通過点から滞在してもらえる場所に変えていきたい」と話している。

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