栃木・茂木にレコード店オープン 日光から移転の「groovin」、町もPR後押し

下野新聞
2023年5月12日

栃木県茂木町の中心市街地に、レコード店「groovin(グルーヴィン)」が先月、日光市から移転開業した。店主の福田龍也さん(52)は「レコードに針を落として家でゆっくり音楽を楽しむ余裕があってもいい」と語るレコード好き。町は昭和レトロな町づくりのコンセプトにもかなうと、PRで後押しする。

旧藤原町出身の福田さんは10代のころからLP盤レコードに親しんだロック音楽ファンで、千枚ほど収集したが、CDに切り替えた際に多くを処分。しかし40代半ばでCDなどのデジタル音源にはないレコードの音の深みを再認識し、収集を再開した。

ところが50歳を過ぎ、板金塗装職として働いた工場が閉鎖し職を失った。前途に不安を抱えたが、友人の勧めもあり自らレコードの魅力を伝える側に回ろうと決心した。昨年6月、日光市今市に同名の店を2年間の約束で出店したが、町の熱心な誘いを受け、早めの移転を決めた。

店は6年間空き家だった元店舗で、茂木駅から徒歩3分ほどの縦町通り(県道那須黒羽茂木線)に面している。店には福田さんが大好きなブリティッシュロックを中心に約千枚を並べ、4月12日に開業した。

福田さんは「レコードは聴き疲れしない。紙のジャケットは美しく、所有感もある。見ても飾っても楽しめる」と魅力を語る。「レコード好きはどこへでも探しに行く」という福田さんに、人口減が進む町での開業に不安はない。店舗情報は交流サイト(SNS)で発信している。

昭和レトロな空間創出に乗りだした町は「タイミングがよかった」と喜ぶ。移住定住促進も担当する町商工観光課が「もてぎ暮らしサポートセンター」や道の駅もてぎのSNSによる情報発信で相乗効果を狙い、店をPRする考えだ。

福田さんは「日の目を見ないレコードを一枚でも多く文化遺産として後世に残すのがレコード屋の使命と思う」と話す。オーディオシステムの相談にも無料で応じるという。営業は正午から。水曜定休。

(問)福田さん080・8438・6572。

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