パイプオルガンで「オペラ座の怪人」 無声映画に生演奏 全国的にもレア企画
無声映画にパイプオルガンの生演奏を付けるシネマ・オルガンコンサート「オペラ座の怪人」が18日午後3時から、那須野が原ハーモニーホール大ホールで開かれる。同ホールのオルガニスト、ジャン=フィリップ・メルカールトさんがサイレントムービーに合わせて曲を構成し、パイプオルガンで演奏する全国的にも珍しい企画。「国内外で初めてお披露目される曲とともに、パイプオルガンの新たな世界を感じてもらえれば」と小林正博(こばやしまさひろ)館長は来場を呼びかける。
上映作品は、ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」を基に1925年、アメリカで制作されたサイレント・ホラー映画。ルパート・ジュリアンが監督し、愛する女性をスターにするため劇場に出没する怪人を演じたロン・チェイニーが、自ら考案したメークとともに有名になった。
メルカールトさんによると、無声映画の時代、映画館ではピアノの生演奏で音楽が付けられ、そのほとんどが即興。同じ映画でも毎回異なる音楽であり、欧米では「シネマ・オルガン」と呼ばれる楽器がオーケストラの響きに近い、効果的な音楽を可能にしていた。
無声映画の衰退に伴いこの伝統も失われたが、近年、オルガニストやピアニストが無声映画に音楽を付ける催しが行われるようになってきたことから、「ハーモニーホールのパイプオルガンでもできるはず」と思いついたという。既存の曲ではなく、映画に合わせ即興的に曲を構成する内容で、今回が初演。作曲に多くの時間をかけており、「今ではなかなか経験できないコンサートなので、ぜひ多くの人に聴いてほしい」と意欲をみせる。
同ホールは、国際コンクール優勝など豊富なキャリアを持つベルギー出身のメルカールトさんをアドバイザーに迎え、2013年、県内公共ホールで初めてパイプオルガンを設置した。これまでベートーベンやベルリオーズらの交響曲をメルカールトさんがパイプオルガン用に編曲し、自ら演奏、披露してきたほか、各種演奏会や講座などオルガンを核とした新文化創造に取り組んでいる。
同館主催オルガンスクールでメルカールトさんに学ぶ那須塩原市、音楽ジャーナリスト潮博恵(うしおひろえ)さんは、「国内の他のホールに先駆けた独自企画で、音楽ファン、映画ファンとも関心があるはず」とし、「地方でオルガン音楽を根付かせようと活動を続けるメルカールト氏の世界初演を聴ける貴重な機会」と意義を説いている
日本語字幕付き、90分。料金は大人千円、小中学生500円(全席指定)。(問)同ホール0287・24・0880。