《食いこ》おむすびや八助(水戸市) 硬めのご飯、ふんわり握る

茨城新聞
2023年3月16日

水戸市南町の路地に店を構えるおむすび専門店。代表の磯崎純子さん(55)とスタッフが、毎朝一つ一つ握るおむすびは、冷めてもおいしいと評判だ。

店の看板であるご飯は、同市内の農家から直接仕入れたコシヒカリを使用。羽釜に入れ、火力の強いガス火で一気に炊く。こうすることで、「ふっくらしつつも、米一粒一粒を感じるご飯になる」と磯崎さん。火にかける時間は気温や湿度、米が炊けてきた時の香りを基に調整し、火を止めたらじっくりと蒸らす。

炊き上がったご飯は、おむすびに合うよう、やや硬め。おひつに入れて手早くまぜ、空気を含ませた後、熱々のまま握る。「両手で優しく形を整えるようにするのがこつ」。同じ三角でもやや丸みがあったり、のりの大きさが違ったり。機械や型など道具に頼らないからこそ、手のぬくもりが感じられ、一層親しみが湧いてくる。

具材は一番人気の「お醤油(しょうゆ)ジャコマヨ」のほか、梅やめんたいこ、鮭(さけ)といった定番から、チャーハンや納豆チーズ、おこげなど変わり種まで30種類以上。磯崎さんのアイデアで増えていったという。

会社や営業所が建ち並ぶ場所にある同店は、昼食に手早く食べられるおむすびを求めて、男女問わず多くの会社員が来店する。イートインスペースが満席になることも少なくない。毎日通う常連客もいることから、薄味を心がけ、煮物やおひたし、揚げ物などのおかずは野菜やタンパク質の割合を考慮し、栄養バランスにも気を配る。「お客さんは大事なわが子のよう。体にいいものを食べてもらいたい」と力を込める。

店舗は石畳のハーモニーロードに面している

 

明るく気さくな磯崎さんが切り盛りする店内は、自然と会話が生まれ、温かな雰囲気が漂う。料理についてや日常のたわいのない話まで、笑い声が絶えない。「お客さんと顔を合わせて会話するのが楽しみ」と磯崎さん。

料理好きが高じて店を開いたのは2004年6月。誰もが好きなおむすびであれば、たくさんの人に食べてもらえるのではないかと始めた。それから18年以上。大きめで愛情たっぷりのおむすびは、地域で働く人たちのおなかと心を満たしている。

■お出かけ情報
おむすびや八助
▽水戸市南町3の4の17
▽営業時間は午前11時~午 後2時
▽定休日は土、日、祝日(予 約注文は休日でも可)
▽(電)029(233)7158