茨城・牛久の「花工房猪子庵」、都内の催しにちりめん細工初出展 つるしびな、創作人形披露

茨城新聞
2023年2月16日

ちりめんの端切れを使った人形制作などに取り組む茨城県牛久市の「花工房猪子庵(ししこあん)」が、東京都目黒区のホテル雅叙園東京の「百段階段」で開かれているイベントに初めて出展し、つるしびなや創作人形を披露している。2月後半には地元で開催する「うしくのひなまつり」にも出展する予定だ。

猪子庵は同市猪子町に作業場があり、日本玩具博物館(兵庫県姫路市)のちりめん細工講師などを務める上村紀代子さん(82)が2008年から主宰している。現在は約40人が数人のグループに分かれて制作する。過去にはフランスや米国でのイベントに出展したこともある。

花工房猪子庵のメンバーと主宰する上村紀代子さん(右から4人目)=牛久市猪子町

 

ホテル雅叙園では「めでたづくし×百段階段」と題して毎年、都の有形文化財の百段階段で、全国各地のひな人形などを展示している。このうち最も豪華な内装で知られる「漁樵(ぎょしょう)の間」に、猪子庵のつるしびなや創作人形が展示された。

目を引くのは、壁に沿って飾られた高さ約2メートルのつるしびな。厄よけや多産の願いが込められ、ちりめん細工の桃の実、ウサギ、花など49種類約1500個が並び、早春の訪れを感じさせる。今年は3月12日まで展示している(観覧は有料)。

全国からひな人形が集まるイベントでの初出展に上村さんは「晴れ舞台に立てたという気持ち。思いがけないことで、夢のまた夢のよう」としみじみと語る。

今月18日から市中央生涯学習センターで始まるひなまつりに向けては「新作を披露したい」と熱が入る。つるしびなや「傘福(かさふく)」と呼ばれる飾り物とともに、「一寸法師」「桃太郎」の場面を再現した創作人形を並べる予定だ。

「(見る人は)リピーターが多いので、同じ作品は出せない。喜びと同時に苦労もある」と気を引き締めつつ「江戸時代から女性の手で脈々と続く伝統を大切にしていきたい」と上村さん。これまで通り心を込めて制作に励むつもりだ。