住井すゑさん宛て年賀状展示 「当時の人間関係探る」 茨城・牛久 

茨城新聞
2023年2月16日

長編小説「橋のない川」で知られる作家、住井すゑさん(1902~97年)に宛てた年賀状の特別展示が、茨城県牛久市城中町の住井すゑ文学館で開かれている。高群逸枝や平塚らいてう、奥むめおなど、女性活動家たちのはがきを中心に展示。幅広い交友関係がうかがわれる。3月12日まで。

同市と東海大は本年度、住井さんが家族とともに約60年間暮らした旧宅(同文学館)に残る資料を調査し、1400枚を超える年賀状を発見した。約1000枚が住井さん宛てだった。

展示しているのは1952~73年に受け取った14通。差出人は住井さんとの共著もある女性活動家、櫛田ふき(1899~2001年)や日本共産党副委員長を務めた小笠原貞子(1920~95年)など。平塚らいてうが代表委員を務めた「新日本婦人の会」と、同会が発行する「新婦人しんぶん」編集部からも送られた。

女性史研究家の高群逸枝が書いたとされる年賀状からは、住井さん一家への温かいまなざしがうかがえる。住井さんが幼い子どもをあやしながら熱弁を振るった講演会に居合わせたことから「お子さんがたのご成長のこと、おどろき、よろこびました」「さぞ大きくなられたことと存じます」とつづっている。

市文化芸術課の飛鳥川みつきさんは「作家が社会とどのようにつながっていたかを考察する手掛かりになる。当時の人間関係を探るための客観的な資料が残っていることを示したい」と話した。

午前9時~午後4時半(最終入館は同4時まで)。月曜休館。問い合わせは市文化芸術課(電)029(874)3121。